ニューヨーク州の無人機基地に抗議  政府の犯罪を告発するのは市民の義務

2011年11月はじめ、ニューヨーク州シラキューズ市で風変わりな裁判が開かれました。ふだんは酔っ払い運転や万引きなどが裁かれる法廷で、裁判官の前に立ったのは「ハンコックの無人機に反対する38人」。同市のハンコックフィールド米空軍州兵基地からアフガニスタンに無人機が出撃されていることに抗議して基地の入り口前で寝転び死体を演じた抗議運動のメンバーでした。(14分)

マイケル・ムーアとナオミ・クライン:怒りから希望へ 「すべての場所を占拠せよ」

「ウォール街を占拠」運動の功績のひとつは、ことばに力を与えたことです。自分や親しい人の暮らしを苦しめる経済的・社会的な不正への憤りを口にする事が愚痴で終わらず、より良い社会を作る力になると感じた人々は、公共の場で自分の体験や考えを述べ、ひとびとの声に熱心に耳を傾けるようになりました。2011年11月10日という同年における「占拠」運動の絶頂期とも言える時期にネイション誌の主催で開かれたパネルディスカッション「すべての場所を占拠せよ:新しい政治と企業権力に立ち向かう運動の可能性」は、ナオミ・クラインとマイケル・ムーアという、運動を早くから支持してきたとびきり人気者のオピニオン・リーダー2人をパネラーに加え、占拠運動の紆余曲折を記録する画期的なイベントになりました。(46分)

エジプト大統領選は決選投票へ 旧体制派候補に抗議が再燃

ムバラク体制崩壊後、エジプトの民主化のハイライトとも言えるエジプト大統領選が2012年5月23,24日に行われ、全世界の注目を集めました。エジプト革命の報道でイジー賞を受賞したシャリフ・アブドゥル・クドゥースが第1回投票の結果への反応をレポートします。(12分)

恐怖、売ります:米国でイスラム嫌悪を仕掛ける「専門家」とその財源

9・11後の米国市民のテロへの不安につけこんで、イスラムへの恐怖と嫌悪を売り込むネットワークの仕組みを解明する報告書が出ました。"Fear Inc: The Roots of the Islamophobia Network in America" (恐怖会社:米国のイスラム嫌悪ネットワークのルーツ)」と題された米国進歩センター(Center for American Progress)によるこの報告書は、「安全保障政策センター」などもっともらしい名前をつけた団体の「専門家」5人が主に7つの財団の寄付を受け書籍や報告書、ウェブサイト、ブログ、綿密に練り上げた反イスラム的な話題の発信源となりイスラム嫌悪を撒き散らしている様子を明かにしました。(14分)

誰がチェを殺した? CIAの完全犯罪

1962年2月7日、ケネディが全面的なキューバ制裁に踏み切って以来、共和党と民主党の一貫した支持のもとで「世界史上最長の経済封鎖」は強化され続け、50年もの長期にわたってキューバ国民に極度の物質的な困窮を強いてきましたが、カストロ政権は盤石の体制を維持したまま今日に至っています。制裁解除を勧告する決議は、1992年以来、国連総会で20年連続採択され、当初は非同盟諸国が賛同の中心だったものの、次第に支持を広げて西欧諸国も一致して賛成に回り、ついに反対するのは米国とイスラエルのみという、米国外交の国際的孤立を対イスラエル政策以上に象徴するものとなりました。憲法上の権利センターのマイケル・ラトナー名誉会長に制裁の歴史と背景を聞きます。ラトナーは、上院議員時代には制裁解除を主張しておきながら大統領就任後は制裁維持を正当化し続けるオバマ大統領の二枚舌を批判します。(40分)

NSAの内部告発者トーマス・ドレイクとオバマ政権による迫害 (1)

国家安全保障局(NSA)の内部告発者、トーマス・ドレイクに話を聞きます。彼はNSAの浪費や不適切な管理、憲法違反の疑いのある活動を報道機関に告発したため、当局の迫害を受けました。スパイ防止法に違反したとして起訴され、最長で35年の投獄という危機に直面しました。でも実際の起訴状にはスパイ行為の具体的な指摘はなく、政府の機密文書を自宅地下室に保管していたという微罪しかありませんでした。結局、この微罪をドレイクが認めるかわりに他の容疑はすべて取り下げるという司法取引が成立し、昨年2011年に裁判は結審しました。当時司法省の首席報道官だったマシュー・ミラーは今ごろになって、「起訴したのは勇み足だった」などと話していますが、明らかに司法を使った内部告発者への嫌がらせです。(12分)

過去最高の選挙献金 大富豪たちが密室で決める 選挙のゆくえ

8月28日フロリダ州タンパで開かれた共和党の全国大会には数千人のジャーナリストたちが取材つめかけました。しかし会場から離れた市内の一角では、11月の総選挙の行方に決定的な影響をおよぼす秘密会議がひっそりと開かれていました。巨額の資金を投じて共和党候補を応援する大富豪やその代理人です。ハフィントン・ポスト紙によれば、28日に行われた会議には、ブッシュ政権で「大統領の頭脳」と言われたカール・ローブの選挙資金管理団体アメリカン・クロスロード(American Crossroads)や億万長者チャールズ・コークとデイビッド・コークの代理人、米国商工会議所の代表などが集まり、オバマ再選阻止のための共同作戦を練ったようです。(14 分)

先住民活動家デニス・バンクス「同化政策は失敗」

アメリカ先住民の活動を第一線で支えて来たデニス・バンクスは、4歳で家族と引き離されて寄宿学校に入れられ、先祖の言語や文化を忘れさせる教育を受けました。この事業を主に担ったのはキリスト教の教会でした。言葉の喪失は文化の喪失、アイデンティティの喪失です。「新大陸発見」を「コロンブスの日」として祝い、町や村に先住民との戦争で手柄を立てた軍人の名をつけ、先住民の子供たちを家族から隔離して同化政策を施すー侵略者の言葉でしか語ることを許さない政策は米国に限った事ではありません。(15分)

チリ・クーデターから40年 ビクトル・ハラの遺族が米国で容疑者を提訴

2013年9月11日はもうひとつの9.11の40年目の記念日です。40年前のこの日、米政府が支援を受けた軍事クーデターにより、民主的に選ばれたチリ人民戦線政権のサルバドール・アジェンデ大統領は命を落とし、首謀者のアウグスト・ピノチェト(本来の発音は「ピノシェ」または「ピノチェ」)将軍による17年間の恐怖政治が始まりました。ピノチェトは左翼や労働運動、人権運動の活動家を徹底的に弾圧する一方、特にサッチャー英首相とニクソン・レーガン両米大統領の忠実な同盟者として極端な新自由主義「改革」を行い冷戦体制にあった西側諸国では「優等生」として称賛を得ました。クーデター直後に暗殺されたチリの伝説的な歌手ビクトル・ハラの妻でゲストのジョアン・ハラは、40年前にハラを殺害したとされる元軍人ペドロ・パブロ・バリエントスを米国で訴えています。バリエントスは在米歴約20年で米国籍を持っているため、ハラの遺族は国外で起きた人権侵害を米国の裁判所で審理することを認める連邦法に基づいて提訴しました。(24分)

デトロイト市の財政破綻「緊急財政管理官」による再建の中身

アメリカの自動車産業を象徴する大都市とされてきたミシガン州のデトロイト市が連邦破産法の適用を申請しました。米地方自治体の財政破綻としては過去最大です。かつて米国第4位の都市だったデトロイトですが、1950年に180万人いた人口が、現在では68万5000人と、半分以下に減少しています。その背景には、犯罪の増加や、郊外への人口流出、自動車産業の空洞化による都市基盤の浸食がありました。(17分)

政府の学生ローンが若者を餌食に生み出す第二の住宅バブル

この夏、連邦政府が貸し出す学生ローンの金利をめぐって議会が紛糾しました。スタッフォード・ローンの金利低減措置が7月1日で失効するため、一部のローンでは金利が3.4%から6.8%へと2倍に跳ね上がり、何百万人の学生が負担の増加に直面することになります。この事態を緩和するための措置が議論され、8月になってようやく、2015年までは低金利に据え置くという超党派の法案が可決しました。しかし、これは一時しのぎにすぎず、長期的には返済の負担は増加すると予想されています。でもローリング・スト ン誌の政治記者マット・タイビによれば、政府系学生ローンに絡む本当のスキャンダルは、ローン金利の問題ではありません。本当に悪質なのはローン元本そのもの、つまり際限のない学生ローンの提供が招いた授業料の異常な高騰という、一種の学費バブルです。(17分)

米国が対エジプト軍事援助を一時停止 その実態は

米政府は2013年10月9日、エジプトへの軍事援助の一部を一時停止すると発表しました。1979年のイスラエル・エジプトの平和条約以降、イスラエルに次いで多額の軍事援助をエジプトへ供与してきた米国が実際に援助停止を決定したことは大きなニュースとして報じられました。しかし、アルジャジーラ英語放送でエジプトを取材したアンジャリ・カマトは、援助停止は暫定措置で象徴的行為にすぎないと指摘します。(13分)

トムズリバー 公害訴訟で多額の和解金を勝ち取った町

大手化学工場の廃棄物に汚染された水や大気が原因で小児がんになったとして、ニュージャージー州の住民がチバ・スペシャルティ・ケミカル社とユニオンカーバイド社など三社を訴えた事件が1980年代にありました。2002年に和解が成立し、公害訴訟 としては最大規模の和解金が支払われたとされています。和解はしましたが、企業側は最後まで賠償責任を認めませんでした。(24分)

NSA内部告発報道にジョージ・ポーク賞 1: 受賞スピーチ「真の受賞者はスノーデン」

4月11日、米国のジョージ・ポーク・ジャーナリズム賞の授賞式がニューヨークで行われ、国家安全保障局(NSA)の監視に関する一連の報道で中心的な役割を果たしてきたグレン・グリーンウォルドとローラ・ポイトラスが揃って出席しました。内部告発者エドワード・スノーデンにインタビューするため香港に飛んで以来、初めての帰国です。二人の受賞スピーチをお聞きください。(10分)

マイケル・パウエルの置き土産とネット中立性を守るバトルの再開

この夏、米国ではインターネットの未来を決定する重大な決定が下されようとしています。コムキャスト、タイムワーナー・ケーブル、AT&T、ベライゾンなどの巨大ISP(インターネット・サービス・プロバイダー)が一致団結してFCC(連邦通信委員会)に圧力をかけ、「ネットワーク中立性」を葬り去ろうとしているからです。この闘いを率いるのは、全米有線テレビ事業者連盟(NCTA)の会長で元FCC委員長のマイケル・パウエルです。彼はジョージ・W・ブッシュ大統領の国務長官を務めたコリン・パウエル将軍の息子です。パウエル長官といえば、2003年2月5日に国連安保理事会でイラクが大量破壊兵器を保有しているという誤まった報告を行いイラク侵攻への道を開いたことで歴史に記憶される人物ですが、本人はこれを生涯の汚点として後に悔やんでいます。息子のマイケルは当時FCCの委員長を務めていましたが、メディアの所有規制の緩和を企てたものの国民的な反対運動を招いて失敗し、2005年1月に退職した後はケーブル業界最大のロビー団体に天下りしました。今度は「ネット中立性」をつぶすための闘いでリベンジを狙っているようです。(22分)

「偽善のサーカス」 ジェレミー・スケイヒル がパリのデモに参加した世界首脳の報道弾圧を批判

2015年1月7日、フランスの風刺週刊新聞「シャルリー・エブド」の発行元を複数犯が襲撃し、風刺漫画家らを含む12人を殺害して逃亡、アルジェリア系フランス人の容疑者兄弟2人は2日後に籠城先の印刷工場で射殺されました。これと並行して、8日に警官を殺害したとされるアフリカ系フランス人の別の容疑者が、翌日パリのユダヤ食品スーパーに人質を取って立てこもる事件が発生。警察の強行突入の際に犯人が射殺されただけでなく人質4人が死亡しました。いずれの容疑者もイスラム系の過激思想の影響を受けていたと考えられ、「アラビア半島のアルカイダ」との関連も取り沙汰されています。(12分)

次のシリザ? スペインM15運動から生まれた反緊縮政党ポデモスの大躍進 党首パブロ・イグレシアスに聞く

2014年、反緊縮を掲げるスペインのポデモス党は、結党4か月にして欧州議会議員選挙で5議席を獲得しました。スペイン二大政党の国民党と社会労働党は前回選挙時よりそれぞれ250万票以上を失い、大敗を喫しました。結党から1年を経たポデモス党の党首、パブロ・イグレシアス氏をゲストに迎え、民衆に焦点を当てた政策について聞きます。(18分)

エクアドル大使館のジュリアン・アサンジ 2014年7月

デモクラシー・ナウ!は昨年(2014年7月)と今年(2015年6月)の2度にわたってロンドンのエクアドル大使館に身を寄せるジュリアン・アサンジを訪れ長時間インタビューを行っています。この動画は昨年7月のときのもので、アサンジをめぐる米国とスウェーデンの捜査について詳しく聞いています。エクアドルに政治亡命を認められたアサンジの移動を阻んでいるのはスウェーデンと米国でそれぞれ別個に進められている2件の刑事捜査があります。そのうち彼が深刻に恐れているのは米国の秘密大陪審による訴追なのですが、それに比べて言いがかりに等しいウェーデン当局の性的不品行をめぐる事情徴収のことばかりが注目され、真の脅威を覆い隠していると彼は言います。(32分)

銀行家の訴追を拒んだホルダー前司法長官 古巣の企業法律事務所に戻る 「究極の回転ドア」 

今年4月に辞任したエリック・ホルダー前司法長官といえば、まずは米国史上はじめての黒人司法長官であることが特筆されます。確かに公民権の擁護やマイノリティの権利擁護に尽力しており、一定の評価を得ています。しかしホルダー氏には、記憶されるべき別の側面もあります。テロ容疑者の無人機による暗殺や内部告発者の迫害などを許した国家安全保障の暗黒面に加え、とりわけ罪深いと思われるのはウォール街の犯罪行為を免罪したことです。金融危機の最中に登場したオバマ政権に米国の有権者が期待したのは、これを機に金融規制を再び強化し、経済全体を危機に陥れた大銀行の不正を糾すことでした。ところがオバマはこの絶好の機会を取り逃がし、銀行家は結局だれ一人として投獄されず、金融業界による支配をますます強化させてしまいました。なぜそうなったのか?退任後のホルダーが、就任前の8年間を過ごした法律事務所こ復帰するというニュースから、その理由が透けて見えます。(16分)

悪魔のチェスボード:アレン・ダレス、CIA、米国の秘密政府の台頭 (1)破壊的な遺産

1950-60年代、というと、遠い過去のことのように感じるでしょうか。しかし、この時代にCIA長官アレン・ダレスが行ったことは、現在のアメリカそして世界に暗く長い影を落としています。米国諜報機関による自国民や同盟国民の盗聴、監視活動、マインドコントロール、拷問、誘拐−これらのことは、911以降に始めたものだと私たちは捉えてしまいがちですが、実はダレス長官時代、1950-60年代にすでに政権転覆のために行われていました。デイビッド・タルボットに新著『悪魔のチェスボード:アレン・ダレス、CIAとアメリカの隠された政府の隆盛』について聞きます。(10分)
Syndicate content