オンライン海賊行為防止法(SOPA)は検閲か? ウィキペディアVS著作権同盟

2012/1/19(Thu)
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ACTA(偽造品の取引の防止に関する協定)の批准をめぐって、先月からネットを中心ににわかに関心が高まり、駆け込み的な反対運動も起きたのですが、残念ながら力及ばず可決されてしまいました。ÅCTAは知的財産権の保護のための国際的な枠ぐみをつくる、多国籍間の協定です。なにが問題なのでしょう?

著作権者の利益を保護するのはよいとしても、それと引き換えにネットの監視が強化され違反行為を厳しく取り締まることになれば、創造活動を萎縮させ、自由な表現やプライバシーの侵害もつながりかねません。さらには捜査機関が悪用すれば、恣意的な捜査や情報収集の道具にもなるでしょう。また協議が秘密裏に進められ、内容がほとんど議論されないまま国会を通ってしまう手口や、条約の力を借りて国内法をつくってしまう手法などにも問題があります。

ACTAだけではありません。昨年6月のコンピューター監視法の成立、今年6月の著作権法改正(違法ダウンロードへの刑事罰)、そして復活しかねない機密保全法案とTPP(環太平洋パートナーシップ)の知財条項。こうした一連の法案をみればネットを大きく変えようとする国際的な動きがあると感じてしまいます。

今回のACTAをめぐる反対運動のきっかけとなったのは、米国の議会に上程された二つの法案が、大規模なオンライン上の一斉ストライキによって注目を浴び、廃案に追い込まれたことによります。下院の法案はSOPA(オンライン海賊行為防止法)、上院の法案はPIPA(知的財産保護法)と言いますが、ともにハリウッドの映画会社やレコード会社など著作権ビジネスを行っている巨大企業が、海外の違法サイトを取り締まるためだとして推進しています。これに対し、グーグルやウィキペディアのようなソーシャルメディア系の企業は反発し、この法案が通れば自由で開かれたインターネットの文化が大きく変わると警告します。じっさいの両者のディ ベートを聞いてみましょう。(中野真紀子)

*ジミー・ウェールズ(Jimmy Wales) インターネット企業家 オンライン非営利百科事典ウィキペディアの共同創始者として有名

*サンドラ・エイスターズ(Sandra Aistars) 著作権同盟代表。元タイム・ワーナー社の重役。

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字幕翻訳:田中泉/全体監修:中野真紀子