ポール・クルーグマンの「リベラルの良心」 後編

2007/10/17(Wed)
Video No.: 
9
36分

著名な経済学者ポール・クルーグマンへのインタビューをお届けします。ポール・クルーグマンはプリンストン大学教授で国際貿易論の第一人者です。またニューヨークタイムズ紙の論説コラムニストでもあり、最近、『エディター&パブリッシャー』誌によって年間最優秀コラムニストに選ばれました。今日は彼の新著The Conscience of a Liberal(『リベラルの良心』)について、本人からお話を伺います。

アメリカには「Sチップ」と呼ばれる子供向けの医療保険制度があります。これは「メディケイド」と呼ばれる低所得者向けの医療扶助制度を受けるほど貧しくはないが、普通の保険を買えるほどの収入はない、下層中流階級の、子供のいる家庭用を対象とした保険制度で、連邦政府から州政府への援助により賄われているプログラムです。10年前クリントン政権下に出来たこの制度のおかげで、医療保険に非加入の子供の数が激減し、たいへんに評判の良いプログラムです。

このSチップを更に拡大しようという法案にブッシュ大統領は拒否権を発動しました。 (この放送当時、大統領の拒否権を覆す為の運動が起っていましたが、この放送の後、下院ではブッシュの拒否権を覆すに十分な3分の2の票を得ることが出来ず、Sチップの拡大は実現しませんでした。 ブッシュ大統領は2007年の暮れ、現行レベルのSチップを2009年まで維持するという法案に署名しました。)

クルーグマンは、このSチップに対する共和党からの反論、またユニバーサルヘルスケア(国民皆保険)が、国民の大多数の支持にもかかわらず、なぜ政治的に不可能とみなされてきたか、また現民主党大統領候補たちの国民皆保険に向けた提案などについて語りました。 またブッシュ政権初期の、減税や社会保障の危機、またサブプライム・ローンに関するアラン・グリーンスパン前FRB総裁の発言に対しても反論を行いました。(関房江)

ゲスト: * ポール・クルーグマン(Paul Krugman)プリンストン大学教授、NYタイムス紙の論説コラムニスト、経済学者(国際貿易論)。彼の新貿易論は有名。レーガン政権の経済顧問を一期経験。

Credits: 

字幕翻訳:関房江 / 校正: 桜井まり子
全体監修:中野真紀子