混迷を深めるシリア内戦 パトリック・コウバーンの提言

2013/6/5(Wed)
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2011年3月、チュニジアやエジプトで起きたいわゆるアラブの春とほぼ同時にシリアでも政府に抗議する大規模な民衆行動が起きました。しかしシリアではリビアと同じように反体制派が早くから武器を取り、政府軍と反政府武装勢力との激しい衝突で内戦と化してしまいました。

シリアの内戦についてパトリック・コウバーンは、いまや内戦はシリア政府側と反政府側という構図に、反体制派の一部をなすアルカイダ系組織や少数宗派を含む対立が重なった多層的な紛争に変容し、レバノンやイラクに拡大したといいます。欧米はアサド大統領の辞任を要求してきましたが、それをよそにシリア政府軍は着実に勝利を重ね、抗争は全体的には膠着状態にあるとコウバーンは言います。局地的にでも停戦を実現して暴力を減らすことが先決であり、それがないままいくら話し合いをしても無益だと提言しました。化学兵器の使用についても政府軍が使用した証拠はないとしています。(桜井まり子)

*パトリック・コウバーン(Patrick Cockburn):中東地域を長く報道している英インディペンデント紙の特派員

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字幕翻訳:桜井まり子 全体監修:中野真紀子