70億ドルの核備蓄追加予算

2010/2/2(Tue)
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オバマ政権が議会に提出した2011年度予算案は史上最大規模の3兆8000億ドルですが、増えたのは軍事予算ばかりで、国内支出は軒並み削減です。そんな中で目を引くのが、核兵器関連予算の5年間で70億ドル超の引き上げです。

米国の核兵器を削減し「核なき世界」をめざすという2009年4月のプラハ宣言から大きく後退したように見えますが、数量の削減に伴う安全管理徹底と補修の費用のためだと説明しています。ニューメキシコ州ロスアラモス研究所の新たなプルトニウム生産施設の新設もその一貫です。サンタフェの州議事堂から話すニューメキシコ核監視団のジェイ・カグラン事務局長は、オバマ政権は条約の批准をたてに上院共和党議員に食い物にされているのだと言います。

米露核軍縮条約の批准の条件として、新たな核兵器開発の予算を要求しているのです。ニューメキシコ州は独立すれば第3位の核大国といわれるほどに研究所や保管庫などの核関連施設が集中しています。こうした研究所は機会あれば自分たちの研究予算を増やそうと狙っています。包括的核実験禁止条約に便乗した時と同じように、今回の米露核軍縮条約でも上院議員を動かして予算増を要求しています。これに引きずられた民主党政権は、国連では「核なき世界」推進をうたいながらしながら裏では核施設を新設するという矛盾に陥っていると、カグランは言います。 (中野)

*ジェイ・カグラン(Jay Coghlan) ニューメキシコ各監視団(Nuclear Watch)の事務局長

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全体構成:中野真紀子