バーバラ・エーレンライク「捨てられるホワイトカラー」

2005/10/17(Mon)
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アメリカ屈指の社会評論家バーバラ・エーレンライクが、求職中の中高年専門職に身をやつして求職活動に挑戦、現代アメリカの企業社会でホワイトカラーの仕事を得るとはどんな体験なのか、体当たりで取材しました。そこでわかったのは、大学に行き、会社に入って忠実な社員になる優等生コースをめざす人達が、しばしば破産に追いやられていることでした。

エーレンライクは30年にわたるジャーナリズム活動や政治活動を通じて、首尾一貫してアメリカの社会階級の実態が変容するさまを記録してきました。ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーとなった『ニッケル・アンド・ダイムド アメリカ下流社会の現実』は、現代アメリカのワーキングプアの実態についての優れたルポタージュです。 米国では生活保護制度の改革によって、受給資格を失った1200万人の女性たちが労働市場に押し出されることになりました。これをきっかけに、エーレンライクは彼女たちを待ち構える現実を身を持って体験してみようと思い立ち、身元をかくして低賃金労働市場に潜入しました。ウエイトレス、ホテル従業員、清掃員、介護施設従業員、ウォルマート店員などの職を転々とした結果、健康で独身の教育のある白人女性がどんなに働いても日々の生活のにかつかつの賃金しか得られない実態が判明しました。

その続編にあたる『捨てられるホワイトカラー 格差社会アメリカで仕事を探すということ』では、コスト圧縮のため中高年のリストラを進める古今の企業のあり方の結果、失職させられたホワイトカラーたちが、どうなっていくのかを追求しました。エーレンライクをスタジオに迎え、この取材について語ってもらいました。(中野)

 

* バーバラ・エーレンライク(Barbara Ehrenreich) 作家、社会評論家。フェミニストで社会主義者。『タイム』や『プログレッシブ』、『ニューリパブリック』、『ネイション』など多数の雑誌にコラムやエッセイを寄稿する米国でも屈指の書き手。著書も多く、アメリカのワーキング・プアの実態を潜入取材した『ニッケル・アンド・ダイムド アメリカ下流社会の現実』は、ニューヨーク・タイムズのベストセラーになった。『捨てられるホワイトカラー 格差社会アメリカで仕事を探すということ』は、その続編

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字幕翻訳:田中泉/校正・全体監修:中野真紀子