9.11

2017学生字幕翻訳コンテスト 課題4:「武力行使の白紙委任状」の受賞作です。 9.11同時多発テロ事件から15年の節目に、米国の戦争拡大と恒久化の端緒となった武力行使権限(AUMF)を振り返ります。9月11日の攻撃から3日のうちに米国議会がほぼ全会一致で採択したAUMFは、この攻撃の責任者と協力者に対する武力行使の権限を大統領に与えるものです。これにより米国はアフガニスタンを攻撃し、米国史上で最長の戦争の端緒を開くことになりました。 しかし、この決議はその後に拡大解釈され、9.11事件とはなんの関係もない国々への軍事攻撃を議会に諮ることなしに行う根拠とされることになりました。シリア、ソマリア、イエメンと米国の戦闘領域は拡大し、多くの国民はその事実さえ知りません。おまけに、国際テロ防止を口実に自国民の通信内容まで盗聴することが可能になっています。(10分)
チリで9.11と言えば、1973年の軍事クーデターを指します。米国の支援を受けたピノチェト将軍が、民主的に選挙で選ばれたアジェンデ政権を倒した日です。それ以降、チリでは独裁政権が反対派の誘拐や虐殺を繰り返して国民を恐怖に陥れ、その一方でシカゴ学派の主張に沿った新自由主義経済政策が徹底的に推進されました。このショックドクトリンの最初の「実験」は、その後、IMFの手動でバブル崩壊後の中南米全体に広がり、大多数の国民を困窮させて、現在の中南米のアメリカ離れの種を撒くことになりました。今ではそれが全世界に拡大していますが、今日の私たちが直面する問題の先駆けとなった事件として、チリ・クーデターの意義は一段と大きくなっています。(17分)
2001年の9.11以降、米国の警察組織に兵器のショッピング・ブームが起きたと言います。調査報道センターのジョージ・シュルツによると、爆弾探知ロボット、戦闘用ベスト、戦闘用ヘルメット、戦闘用盾、無人機に至るまで購入品目は多岐にわたります。ブームの背景には、9.11の再来に備えるためとして、国土安全保障省に創設された連邦補助金制度がありました。無人機はヘリと比べて安価であるため、いっそう普及が広まったと言われます。(18分)
テレビ報道は私たちの現実認識に大きく影響し、集団的記憶として刻み込まれます。でも、そうしたメカニズムは十分に解明されてきたとはいえません。実際に過去のTVニュースを参照して比較検証するためのツールがなかったからです。米国テレビ報道は私たちの現実認識に大きく影響し、集団的記憶として刻み込まれます。でも、そうしたメカニズムは十分に解明されてきたとはいえません。実際に過去のTVニュースを参照して比較検証するためのツールがなかったからです。米国では9.11同時多発テロから10年目に、インターネット・アーカイブ事業の先駆者2人が野心的なプロジェクトを立ち上げました。『9/11理解 テレビ報道アーカイブ』(Understanding 9/11: A Television News Archive)は、2001年の9月11日から15日まで放送された米国内外20局の延べ3000時間にわたるニュース映像を集め、さまざまな角度から検証できるように重層的にカタログ化して、インターネットで公開されています。(12分)