ボディショップを創始した環境活動家アニータ・ロディック
2007年10月ロンドンでボディショップの創業者アニータ・ロディックの追悼式典が行われました。ロディックは環境保護活動家であり、動物実験を行わない化粧品の製造や販売の先駆者でした。
1976年に創設したボディショップは、社会改革や環境改善を設立目的として定款に掲げ、人権保護を訴える会社ですが、今では世界50カ国で2000店舗を展開する大企業に成長しました。
事業を通じて自己の信念を具体化し、社会を変えていく夢を実現させたロディックは、企業の社会的責任を考える企業人の草分けでした。企業は株主の利益のためにだけ存在するという固定観念に対し、それとは別の可能性を力強く指し示した人でした。
「自分は年を取ってますます過激になるが、会社は大きくなるにつれ次第に覇気を失っている」と嘆く彼女は、生涯を通じて企業の市場独占の弊害を訴え、反戦や先住民運動や政治犯の支援などにかかわり続けました。
カナダのドキュメンタリー映画「ザ・コーポレーション」に出演した折、マー ク・アクバー監督が行った2001年のインタビュー映像を放送します。
後半ではルイジアナ州アンゴラの監獄に35年間投獄されていたブラックパンサー党員ハーマン・ウォーレスは、同刑務所に不当に監禁されていた3人の囚人(「アンゴラの3人」と呼ばれる)を解放するため、ロディックが行った支援について回想しています。(中野)
★ ニュースレター第16号(2009.7.10)
*アニータ・ロディック(Anita Roddick) 1976年、イギリスで天然原料のオリジナル化粧品を製造、販売する会社「ザ・ボディショップ」(The Bodyshop)を設立し、50カ国以上に2,000店以上の店舗を展開する大企業に成長させた。企業の中心的な価値に、地球環境にかかわる広範囲な問題の対策を支援する積極的な取り組みで知られ、化粧品製造における動物実験に反対し、人権擁護に積極的に取り組むなど、利益追求とは異なる価値観に基づいた「社会的企業」の先駆けとして世界をリードした。
字幕翻訳:佐藤真喜子/校正:桜井まり子
全体監修:中野真紀子・高田絵里