国連報告草案 コンゴで大量虐殺をしたとしてルワンダ軍を非難

2010/8/31(Tue)
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コンゴと並んでベルギーの植民地支配を経験したのがルワンダです。ここでは1994年に、数カ月の間に80~100万人ものツチ人が惨殺されたルワンダ虐殺が起こりましたが、そもそもフツ人とツチ人という反目する2民族をつくり出しジェノサイドの遠因を作ったのは欧州の宗主国でした。聖書を背景にした独特の人種思想を植民地支配の道具として押し付けたのです。

この大虐殺を収束させたのは、ツチ人保護を名目にルワンダ全土を制圧したルワンダ愛国戦線の指導者ポール・カガメです。彼は米国の陸軍学校で教育を受けた軍人で、米英の支持を受けて2003年にルワンダ大統領となり現在に至っています。ルワンダを見事に復興させたと米国では評価の高いカガメ大統領ですが、ここに来てまったく違う見方が出てきました。

カガメの軍が96年にルワンダを逃れたフツ人を追って隣国のザイール(現コンゴ民主共和国)に侵攻し、現地の反乱軍と同調して数十万のフツ系難民を虐殺し、おそらくはジェノサイドの罪を犯したという国連の報告書が草稿段階でリークされました。彼が果たした役割とルワンダとコンゴ東部の紛争についての過去十年ほどの歴史解釈に大幅な見直しが始まる見通しです。(中野真紀子)

ピーター・エルリンダー(Peter Erlinder
米国のナショナル・ロイヤーズ・ギルドの元会長で、ルワンダ国際戦犯法廷にかかわった

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字幕翻訳:桜井まり子/校正・全体監修:中野真紀子/ウェブ作成:付天済