CIA工作員を起訴したイタリアの検事

2009/11/5(Thu)
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11分

イタリアの裁判所が、CIA工作員を含む23人の米国人に対し、2003年にミラノの街頭でエジプト人イスラム法学者を拉致したとして有罪を宣告しました。米国政府が身柄引き渡しを拒否したため、被告全員が欠席のままの裁判でした。

この事件は、「特例拘置引き渡し」と呼ばれるCIAによるテロ容疑者の外国での拉致監禁に関して、作戦に関与した米国人が起訴され、有罪判決を受けた初めてのケースです。有罪判決を受けた23人は、全員が逮捕を逃れて逃亡中ということになり、米国の外にでれば逮捕される可能性があります。

この事件で起訴を担当したイタリアの検事アルマンド・スパターロ氏に、ローマから話してもらいます。また、スタジオでは国際法と人権問題を専門とするスコット・ホートン弁護士に意見を聞きます。

この画期的な判決の背景には、政治権力から検事が絶対独立を保証されているイタリアの司法制度の特徴があります。イタリア政府は米国に気をつかって犯人の引渡しを要求していませんが、起訴を握りつぶすことはできません。法務省が国際警察に要請しないので23人の米国人は国際指名手配にはなりませんが、欧州逮捕状は各国政府の要請がなくても有効なので、ヨーロッパに足を踏み入れれば逮捕される可能性があります。

*アルマンド・スパターロ (Armando Spataro)
CIA工作員を検挙したイタリアの反テロ活動担当の検事

*スコット・ホートン(Scott Horton)
国際法と人権法を専門とするニューヨークの弁護士。ハーパーズ・マガジンに法律関係の記事を寄稿している。

参考URL
Scott Horton: "Judgment in Milan"

Credits: 

字幕翻訳:川上奈緒子/校正全体監修:中野真紀子・付天斉