パキスタンの米軍と前代未聞の洪水被害

2010/9/13(Mon)
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2009年8月に発生した大洪水によって、パキスタンは国土の5分の1が浸水、約2千万人が被災したと言われています。発生1カ月たっても水は引かず、被災者は寸断された道路やシェルターに取り残されたままでした。未曾有の災害となった洪水の救援活動から戻ったばかりのフェリヤ・アリ・ガハルさんに聞きました。

パキスタン出身の俳優、映画監督、作家、人権運動家のガハルさんは、米国の無人機攻撃と洪水との間に具体的な関係があると言います。ガハルさんが軍事業者から聞いた話では、パキスタンのシンド州とバルチスタン州との境界である要衝地点ジャコババードに駐留している米軍が、この洪水によるインダス川のかつてない増水に危機を感じ、故意に対岸を決壊させたのだと言います。そのため流域全体が浸水し洪水被害が拡大することになりました。さらに、この決壊は基地の人員を守るためだけではなく、無人機プログラムに関する機密保護のためでもあったと言います。パキスタン人の信頼を得るためとされる米軍駐留に対し、「こうしたきれいな言葉の裏にあるのは、武力と帝国主義なのです」とガハルさんは語ります。(桜井)

*フェリヤル・アリ・ガハル (Feryal Ali Gauhar)パキスタンの女優、映画作家、作家、人権活動家。元国連親善大使。新著はアフガニスタンを扱ったNo Space for Further Burials(『もう埋葬する場所もない』)

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字幕翻訳:桜井まり子/校正・全体監修:中野真紀子