アリゾナ州がエスニック教育をカリキュラムから排除 人種統合の歴史を巻き戻し

2011/12/29(Thu)
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2010年5月米アリゾナ州では、外見などから無届の移民と疑うに足る理由があれば逮捕ができるとして波紋を呼んだ移民法に続いて、特定の民族を対象にした授業を禁ずる法律が成立しました 。「民族間の結束を強め、白人に対する敵意を助長させる」というのがアリゾナ州当局の禁止の理由でした。この法律は、メキシコ系・ラティーノ系の生徒が過半数を占めるツーソン学区で行われているメキシコ系米国人研究(MAS-TUSD)のカリキュラムを標的にしたものでした。公立学校の教職員や生徒が禁止に反発し、取り消しを求める訴訟を起こしました。

学校教育から白人に都合の悪い授業を排除しようとするこの禁止令は、人種統合とは正反対の動きです。白人に対する敵意を助長するというのがその理由ですが、エスニック教育は民族としての誇りを教えるものです。それが白人に対する敵意を助長するとすれば、歴史をふりかえらなければならないのは白人ではないでしょうか(桜井まり子)

*ロレンツオ・ロペス(Lorenzo Lopez):メキシコ系米国人研究の授業を行うツーソンの高校教師。授業の禁止に反対する訴訟の原告の1人。

*コリナ・ロペス(Korina Lopez):ロレンツオ・ロペス氏の娘。ツーソン地区の高校生

*ロドルフォ・アクーニャ博士(Dr. Rodolfo Acuña):チカーノ研究の父と呼ばれ、『占領されたアメリカ:チカーノの歴史』著者。

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翻訳:小田原琳 /字幕・Web作成:桜井まり子