拷問を容認させたブッシュ政権の法律顧問たち

2008/4/3(Thu)
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2003年に作成された覚書が情報開示されたことから、ブッシュ政権による囚人の処遇や尋問の方法にメスが入りつつあります。機密扱いにされていたこの覚書には、司法省が国防総省に対し、大統領権限は囚人への虐待や拷問を禁じた数々の法律よりも優先すると、指示したことが示されています。

覚書の筆者は当時司法省の法律顧問だったジョン・ユー弁護士、現在はUCB大学の教授です。英国の弁護士でロンドン大学教授のフィリップ・サンズは雑誌『バニティー・フェア』に寄せた記事で、グアンタナモやアブグレイブなどで採用された過激な尋問方針の考案と実施に、ユー弁護士を始めとする米政府内の法律顧問たちが手を貸したことを明らかにしました。

当時ブッシュ大統領の首席法律顧問だったアルベルト・ゴンザレスも、2002年みずからグアンタナモに赴いて尋問の様子を視察しています。同行した副大統領主任顧問デヴィッド・アディントン、国防総省法務顧問ウィリアム・ヘインズらと共に、彼らは「ブッシュ政権法律顧問の拷問班」とでも呼ぶべきものを形成していたと、サンズ弁護士は指摘しています。

拷問の承認はジュネーブ条約に違反し、戦争犯罪の容疑で起訴される可能性があります。危機を察したブッシュ政権は、ただちに特別軍事法廷法案を成立させて、関係者に免責を与えました。この法律は米国内で適用されますが、国外には及びません。米国から一歩でも出れば、彼らの行為は戦争犯罪で訴えられる可能性があります。拷問に関与した米政府高官たちが将来において捜査の対象になる可能性は、むしろ高まったという意見もあるようです。(中野)

* フィリップ・サンズ(Philippe Sands)マトリックス・チャンバーズに所属する国際法の専門家でロンドン大学ユニバーサルカレッジ教授。新刊書はThe Torture Team: Rumsfeld’s Memo and the Betrayal of American Values(『拷問チーム:覚書と裏切られた米国的価値観』)、前作はLawless World: America and the Making and Breaking of Global Rules.(『無法地帯:米国による世界秩序の構築と破壊』)。

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字幕翻訳:川上奈緒子/校正:田中泉
全体監修:中野真紀子