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カナダ人ジャーナリストのナオミ・クラインが、話題の新著
The Shock Doctrine: The Rise of Disaster Capitalism (『ショック・ドクトリン:惨事活用型資本主義の勃興』)について語ります。パート2では、シカゴ学派の台頭とショックドクトリンの形成過程を詳しく追います
投資家の利益を代弁するシカゴ大学経済学部は、「大きな政府」や「福祉国家」をさかんに攻撃し、国家の役割は警察と契約強制以外はすべて民営化し、市場の決定に委ねよと説きました。でもそのような政策は有権者の大多数から拒絶され、アメリカ国内で推進することはできませんでした。民主主義の下では実現できない大胆な自由市場改革を断行したのが、ピノチェト独裁下のチリでした。無実の一般市民の処刑や拷問を行ったことは悪名高いですが、それと同時にシカゴ学派による経済改革が推進されたのは、クラインによれば偶然ではありません。これがショック・ドクトリンの、最初の応用例だったのです。
ショックの効用を研究したもう一つの機関は、カナダのマッギル大学でした。同大学の精神医学科はCIAの資金で拷問手法としてマインドコントロールや洗脳の実験を行っていたようです。囚人に幻覚剤を投与し、近く刺激を奪って長期の孤立状態に置くことにより、精神を幼児まで退行させ、人の言いなりにさせる手法は、現在グアンタナモやアブグレイブで使われている拷問マニュアルに酷似しています。
戦後イラクで連合軍暫定当局(CPA)のブレマー代表は意図的に無政府状態と恐怖の蔓延を助長する一方で、急激な民営化を進めましたが、これを個人に対するショック療法のパラレルとしての国民レベルのショック療法とみることもできます。人類最古の文明におけるゼロからの再出発、既存体制の完全な抹消という発想には、個人の精神を幼児に戻して言いなりにさせるCIAの拷問手法が重なります。これはさらに、ハリケーン被害においても踏襲され、長年の放置により劣化したインフラが必然的に災害を招くと、それを口実に、まるごと民間に売り飛ばせという主張に拍車がかかります。
新著の発売当日にナオミ・クラインをスタジオに迎え、これから始まる全国プロモーションの口火を切るロング・インタビューを行いました。
パート1 、
パート3 もあわせて、ぜひご覧ください。(中野真紀子)
「2007年10-11月」に収録
☆ インタビューを読みやすく編集したものが
2008年6月号の『みすず』no.561 に載っています。翻訳書がまだ出ていないので、こちらを
入手するのも一考かも (一冊315円です)
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「ショックドクトリン」 ナオミ・クライン新著を語る 1
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「ショックドクトリン」 ナオミ・クライン新著を語る 3