ラルフ・ネイダー 「もう止まらない 左派と右派の連携が企業支配をくつがえす」

2014/4/28(Mon)
Video No.: 
3
20分

クラウドファンディング字幕第二弾の最後はラルフ・ネイダーです。

米国の消費者運動の先駆者でパブリック・シチズンの創始者ラルフ・ネイダーは、市民の行動こそが政治変革の原動力だという固い信念のもと、長年にわたり市民の運動に力を尽くし、多くの運動家を育ててきました。近年は米国の二大政党制の行き詰まりに業を煮やして、これに挑戦すべく過去3回の大統領選挙に第三極の候補者として、緑の党の公認や、後には無所属で出馬してきました。ネイダーが新著について語ります。

米国の巨大企業は共和党にも民主党にも資金を提供しており、どっちの政権になろうが大企業優遇の政策に変わりはありません。それでも表層的には両者の主張は対立し、オバマ政権のもとでは党派対立の激化で連邦議会はにっちもさっちもいかない状態です。ネイダーの見るところ、こうした党派対立は巨大企業の思う壺であり、むしろイデオロギー対立を煽ることが彼らの戦略です。人工中絶や移民政策などさまざまな社会問題をめぐって右派と左派が対立し、世論が分断され、議員たちが争い合うすきに、企業による政治支配が固められていきます。そういえば、日本のネット世界もあっという間に「ウヨ」と「サヨ」に分断され、あやしいネット世論が大賑わいです。

いまや米国の中央政界の上層部をがっちり押さえている巨大企業利権ですが、その足元では地方レベルの政治から右派と左派の連帯が米国各地に広がり、風向きは確実に変わっているとネイダーは指摘します。地方レベルでは、最低賃金の引き上げや刑事司法の改革、そしてグローバル貿易協定の拡大阻止をめざす超党派の共闘が生まれているのだそうです。確かにTPPをめぐっては、民主党は雇用の悪化や医療費の上昇などを理由に反対し、共和党は国家主権の大幅な侵害に反対しています。両党の反対派議員を合わせれば過半数に達し、それがオバマ大統領の要求する貿易促進権限(ファーストトラック)を阻止しています。このインタビューの後、中間選挙で共和党が上下両院を制圧する状況になりましたが、それでもファーストトラックが阻止できるかどうか注目されます。(中野真紀子)

☆ このセグメントはクラウドファンディングが成立したおかげで字幕をつけることができました。スポンサーになっていただいた皆さんに、心から感謝を申し上げます。

*ラルフ・ネイダー(Ralph Nader)長年にわたり消費者運動を主導し、大企業の行動を批判してきた弁護士。元大統領候補。新著は、Unstoppable: The Emerging Left-Right Alliance to Dismantle the Corporate State(『もうとまらない 企業国家をぶっつぶす右派・左派連合の台頭』)

Credits: 

字幕翻訳:大竹秀子 / 校正:中野真紀子