アニメで語るチョムスキー ミシェル・ゴンドリー監督の斬新な映画『背の高い男は幸せ?』

2013/12/3(Tue)
Video No.: 
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39分

クラウドファンディング字幕の第三弾はノーム・チョムスキーを取り上げたフランス人監督による新作ドキュメンタリー映画です。最初の動画は、監督をNYのスタジオに招いてインタビュー、この後にアップする後半動画は映画のプレミア上映のステージで行われたノーム・チョムスキーと監督の対談です。

フランス出身のミシェル・ゴンドリーは、アカデミー脚本賞を受賞した『エターナル・サンシャイン』やボリス・ヴィアン原作の『ムード・インディゴ うたかたの記』、『恋愛睡眠のすすめ』、音楽記録映画『ブロック・パーティー』など多彩な映画にとどまらず、ビョーク、カニエ・ウエスト、ポール・マッカートニー、ザ・ローリング・ストーンズなど数多くのミュージックビデオを手掛けたことで世界的に著名な映画監督です。

2013年に米国で公開され、2014年には日本でもイベントで上映された記録映画『背の高い男は幸せ?』は、ゴンドリー監督とノーム・チョムスキーMIT(マサチューセッツ工科大学)教授との間で行われた一連の対話に、ゴンドリー監督の手描きのアニメーション映像を添えるという極めて斬新な手法で作られました。米欧系多国籍企業を頂点にした独占資本主義による世界支配体制に対する先鋭かつ緻密な異議申し立てで世界的に著名なチョムスキー氏ですが、人間が言語能力を習得する仕組みを解明した生成文法理論など、言語学や哲学の分野での学術的な業績は、その難解さもあって一般には殆ど知られていません。

『背の高い男は幸せ?』は、チョムスキーの言語理論の解説を中心に据えつつも、哲学・言語学だけでなく教育・宗教・天文学などあらゆる分野に関するチョムスキーの見解を分かりやすく説明し、さらには、亡くなったキャロル夫人とのかかわりや三人の子供への家庭教育など、これまで私たちが触れる機会のなかったチョムスキーの素顔を知る稀有な機会を提供してくれます。

番組の後半でゴンドリー監督は、この映画を見たチョムスキー自身の反応や、ゴンドリー監督の代表作『エターナル・サンシャイン』の制作過程に関する秘話を披露するだけでなく、「広告は最悪」で多くのミュージックビデオにも興味がないと断言しつつも、そうして得た収入で『背の高い男は幸せ?』のようなお気に入りの企画を実現する喜びを語ってくれます。(斉木裕明)

☆ このセグメントはクラウドファンディングが成立したおかげで字幕をつけることができました。スポンサーになっていただいた皆さんに、心から感謝を申し上げます。

*ミシェル・ゴンドリー(Michel Gondry): 新作記録映画『背の高い男は幸せ?』の監督、アニメーター。フランス出身で、過去の作品には、アカデミー賞脚本賞受賞の『エターナル・サンシャイン』など多数の話題作のほか、音楽ビデオでも売れっ子の作家。

Credits: 

字幕翻訳:斉木裕明 / 校正:桜井まり子 /全体監修:中野真紀子