ラルフ・ネーダー:日本の事故で「原発ルネサンス」は終わった

2011/3/18(Fri)
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気候変動対策に前向きなオバマ政権が切り札の一つとして進めてきたのが、クリーンなエネルギーとしての原子力発電の再評価です。1979年のスリーマイル島の事故以来、米国では新規の原発の建設はほとんどありませんでしたが、オバマ政権のもとで「原発ルネサンス」と呼ばれる建設ラッシュが始まりました。日本の事故は、この「原発ルネサンス」も吹き飛ばしたようですが、米国の消費者運動の旗手ラルフ・ネーダーに言わせれば、ここからが私たちのがんばりどころです。原発利権はそう簡単には退散しません。確実に息の根をとめるように、黙ってみているのではなく行動せよと、ネイダーは呼びかけます。

事故を起こした福島の原子炉の設計元で、同型の原子炉が30基近く稼動しているという米国。設計上の耐用年数40年が過ぎたのに延命している老朽化したゾンビ原発が住民を危険にさらし、リスクが高すぎて民間投資が集まらず政府が保証して初めて建設できる親方日の丸・・・じゃなかった「親方星条旗」事業です。監視役のはずの原子力規制委員会が原発応援団と化しているため、住民には本当のリスクもコストも知らされない。どこの国も、この業界はよく似ています。

日本のNGO原子力資料調査室から出演のフィリップ・ホワイトは、ウエスチングハウス社を破格の値段で買収した東芝が、東京電力と共に米国テキサス州の原発建設事業に乗り出したことを語っています。今回の事故で米国側のパートナーは撤退を表明したようですし、東電は海外投資どころではありませんが、東芝はまだまだやる気のようです。(中野)

*ラルフ・ネーダー(Ralph Nader)長年にわたり消費者運動を推進し、企業批判を行ってきた。米国大統領選挙に第三党の候補として出馬。新著は近未来ファンタジーの小説 Only the Super-Rich Can Save Us! (『超金持ちだけが世界を救う!』)。
*フィリップ・ホワイト(Philip White)東京のNPO原子力資料情報室の国際リエゾン担当
*アイラ・ヘルファンド(Ira Helfand)「社会的責任を果たす医師団」の役員。原子力発電、核廃棄物、被曝関連の専門家

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翻訳:中村達人/校正・全体監修:中野真紀子・丸山紀一朗