非暴力デモの鎮圧にトウガラシスプレーを使う警察に開発者が非難の表明

2011/11/29(Tue)
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14分

2011年11月、カリフォルニア大学ディビス校で座り込みデモをしていた学生たちに、警官がトウガラシスプレーを順番に噴射する映像が大きな話題を呼びました。トウガラシスプレーとは、標的にじかに噴射する催涙スプレーの一種で、トウガラシの濃縮成分が強い炎症を引き起こします。開発に携わったムラン・ロフマンが登場し、スプレーの使われ方に異議を唱えます。

ロフマンは、スプレーはあくまでも危険に対し局所的・一時的に使うものであり、非暴力のデモ隊への噴射は使用目的から大きく逸脱していると嘆きます。しかし海外のデモなどで催涙スプレーや催涙ガス弾が使われることは珍しくありません。非致死性で後遺症はないとされていますが、パレスチナでは催涙ガス弾の弾筒が身体に当たって死亡したり失明した例があります。エジプトでは、ムバラク失脚後に政権を取った軍部が、米国企業から催涙ガス弾を輸入したと報道されました。

攻撃力の強化された鎮圧用兵器を不特定多数の群衆に使った場合、暴露した人の健康状態や濃度や距離によっては、通常より重い作用を引き起こすことは十分予想されます。大量に使われた場合、環境に放出された化学物質の残存も懸念されます。催涙スプレーは化学兵器に分類され、ジュネーブ議定書で戦争での使用が禁止されています。(桜井まり子)

*カムラン・ロフマン(Kamran Loghman) 1980年代にFBIと共同で唐辛子スプレーを兵器レベルの素材へと開発した。警察による唐辛子スプレーの使用についてのガイドライン策定にも協力した。

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字幕翻訳:桜井まり子/全体監修:中野真紀子/サイト作成:丸山紀一朗