コロラド州初の黒人女性大麻企業家が語る食用利用、投獄、大麻産業における白人支配
2016学生字幕翻訳コンテスト 課題2:「大麻合法化と黒人の大量投獄の関係」の受賞作です。
コロラド州では2012年の住民投票で、娯楽目的のマリファナ使用を合法化することが決まりました。現在、米国の23の州とコロンビア特別区で医療目的や娯楽目的のマリファナの使用が合法化されており、大麻産業は米国内で最も急成長している産業の一つです。しかし、大麻販売が生み出す何十億のお金を手にしようとする人々に対し、疑問の声もあがっています。ベストセラーThe New Jim Crow: Mass Incarceration in the Age of Colorblindness(『新たな黒人隔離:カラーブラインド時代の大量投獄』)の著者ミシェル・アレグザンダーは、麻薬政策連盟(the Drug Policy Alliance)との会話の中で、「白人男性が、大々的に大麻事業に乗り出し、大麻の販売で一攫千金をもくろんでいます。でも、これまで40年間にわたり、貧しい黒人の子どもがマリファナを売った罪で投獄され、家族も未来も破壊されてきたのです。それなのに今、白人男性が、まったく同じ行為をして、金持ちになろうとしているのです」と指摘します。
デンバーに拠点を置くマリファナ薬局シンプリー・ピュアの代表取締役ワンダ・ジェイムズは、コロラド州でマリファナ薬局を経営している初めてのアフリカ系アメリカ人女性です。彼女は社会的公正の実現のために大麻産業に進出しました。彼女が薬局事業を思い立ったきっかけは、自分の兄弟が17歳の時に麻薬関連の軽罪で投獄され、自由を得るためにテキサス州で4年間の綿花摘み労働を強いられたという体験です。一方、大学生だったジェイムズは日常的に大麻を吸引していました。つまり弁護士や医者や大学教育を受けた人達の世界では、大麻で刑務所に行くことはないが、大麻所持による逮捕は70万人に上り、黒人の逮捕率が白人の4倍に上ります。大麻に関して犯罪歴がある場合、大麻産業へ参入はできません。しかも有色人種への偏見のため、黒人たち自身も大麻産業への関与に慎重になっています。つまり黒人は最大の国内産業の一つになるかもしれない大麻産業から、またも締め出されようとしているのです。(田辺希久子)
*ワンダ・ジェイムズ(Wanda James):カリフォルニア州デンバーの大麻薬局シンプリー・ピュアの最高経営責任者で大麻グローバルイニシアチブの代表
字幕翻訳:谷口晴絵・渋谷優季 神戸市外国語大学第二部英米学科 4年・3年 (2016学生字幕翻訳コンテスト受賞作品)
監修:中野真紀子