ナオミ・クライン:支払う気のない入札で活動家が有罪に― ならば環境汚染企業は?

2011/3/9(Wed)
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環境活動家ティム・デクリストファーはユタ大学の学生だった2008年末に、公有地での石油・天然ガスの採掘のための入札を阻止しようと、会場に入って入札に参加し10万エーカー(約400平方km)の土地を競り落としました。ユタの自然を守る快挙でしたが、デクリストファーは入札妨害で起訴され、2つの重罪で有罪判決を受けました。

彼が罪に問われたのは、「支払いの意思がないのに入札に参加した」ことです。でもそれならば入札に参加した他の企業には、自分たちの生産する石油やガスが引き起こす環境汚染のコストや事故が起きたときの損害賠償を支払うつもりはあるのでしょうか、とナオミ・クラインはダブルスタンダードを指摘します。アラスカ沖やエクアドルで原油流出事故を起こしても、企業は責任をとっていません。ましてや気候変動がもたらす地球規模の環境のコストは、とうてい私企業が背負えるものではありません。こうしたコストは社会全体にかぶせて、利益だけはいただきというのでは、ちょいとむしがよすぎませんか?(中野)
*ナオミ・クライン(Naomi Klein)数々の賞を受賞したジャーナリスト。『ブランドなんか、いらない』、The Shock Doctrine: The Rise of Disaster Capitalism『ショック・ドクトリン:火事場泥棒の資本主義』の著者
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字幕:桜井まり子 サイト:丸山紀一朗 全体監修:中野真紀子