「アメリカの叛乱」 1月6日の議事堂襲撃事件を経て過激な右派運動はフリンジから主流派へ(後半)

2021年1月6日、トランプ支持の極右白人至上主義者が数千人の暴徒となって連邦議事堂に押し寄せ、大統領選挙の結果の議会承認を妨害して5人の死者と数百人の負傷者を出しました。事件から一年が経ち、この運動は今どのような状況にあるのでしょうか。PBSのドキュメンタリー番組『フロントライン』(Frontline)が、非営利報道機関『プロパブリカ』(ProPublica)やカリフォルニア大学バークレー校の調査報道プログラムとの共同調査をもとに制作した調査報道ドキュメンタリーAmerican Insurrection(『アメリカの叛乱』)の最新版を見て検証します。(13分)

ニコル・ハンナ=ジョーンズが語る「1619プロジェクト」  批判的人種理論の教育 裁かれる白人至上主義

奴隷制のレガシーが現在も米国社会に深い影響を与えているとする「批判的人種理論」を学校教育に取り込むことに対し右派からの猛攻撃がしかけられている中で、ピュリッツァー賞受賞ジャーナリストのニコル・ハンナ=ジョーンズにロングインタビューを行いました。奴隷とされたアフリカ人が最初にバージニア州に到着した年を建国の起点として米国史を再構築しようとする「1619プロジェクト」の生みの親です。(10分)

フィリピンの学者ウォルデン・ベローが語る ウクライナ紛争にかかわる米国の動機にグローバルサウスが疑惑を抱く理由

ロシアによるウクライナ侵攻を西側諸国は声をそろえて非難していますが、グローバルサウスの反応は冷めています。フィリピンの学者で著名な活動家のウォルデン・ベローは、世界の指導者の多くは、この危機に積極的に介入することを躊躇しています。国益につながるわけではないし、ロシアへの反発を利用するため米国が侵略を挑発したのではないかと疑っているためです。ソ連の崩壊に乗じてNATOが強引に東方に拡大し、ロシアと国境を接する国々まで取り込もうとしていることが、危機の背景にあります。(8分)

「すべての始まり」デビッド・ウェングローと故デビッド・グレーバーの共著は新しい人類の歴史を語る

負債論やオキュパイ運動の理論的支柱として有名な人類学者デビッド・グレーバーは、昨年急逝する直前に一冊の本を遺しました。考古学者デビッド・ウェングローとの共著The Dawn of Everything: A New History of Humanity(仮訳『すべての始まり ~新しい人類史』)です。この本は、「西洋思想」の根幹と考えられている民主主義や平等の観念が、じつは北米先住民の文化に大きく影響されていたことを、ヨーロッパからの植民者と現地の人々との遭遇にさかのぼって検証しています。(10分)

「アメリカの叛乱」1月6日の議事堂襲撃事件を経て過激な右翼運動は少数派から主流派へ(前半)

2022学生字幕翻訳コンテストの課題4:「連邦議事堂の襲撃」の前半部分です。コンテスト課題は、この後に続く部分になります。<br><br> 【2022/01/05/1】2021年1月6日、トランプ支持の極右白人至上主義者が数千人の暴徒となって連邦議事堂に押し寄せ、大統領選挙の結果の議会承認を妨害して5人の死者と数百人の負傷者を出しました。事件から一年が経ち、この運動は今どのような状況にあるのでしょうか。PBSのドキュメンタリー番組『フロントライン』(Frontline)が、非営利報道機関『プロパブリカ』(ProPublica)やカリフォルニア大学バークレー校の調査報道プログラムとの共同調査をもとに制作した調査報道ドキュメンタリーAmerican Insurrection(『アメリカの叛乱』)の最新版を見て検証します。(16分)

ビエト・タン・ウェン アジア系ヘイトの根源を語る:米国の植民地主義から中国脅威論まで

2021学生字幕翻訳コンテスト  課題6:「人種偏見と政治」の受賞作です。前半は参考動画、後半が受賞作です<br><br> アトランタの連続銃撃事件を受けて、アジア系アジア系アメリカ人を狙ったヘイトクライムに抗議する動きが続いています。銃を持った白人男性がアジア系所有のマッサージ店3店を次々と襲撃し、アジア系女性6人を含む8人を殺害しました。アトランタの州都ジョージアの州議事堂の周囲をはじめ米国各地の街頭で何百人もの人々が集まり、アジア系に対する人種差別をやめるよう訴え、8人の犠牲者を追悼しました。米国のアジア系に対する憎悪は「ちっとも目新しいものではありません。米国でのアジア系に対する暴力の歴史はアジア系移民の流入までさかのぼります」と、ビエト・タン・ウエンは言います。彼はピュリツアー賞を受賞したベトナム系米国人作家です。彼は、中国を敵視する弁舌が共和党と民主党の両方の指導者の口から流れていることの危険性を語り、それが世間的なアジア系米国人に対する猜疑心につながっていると指摘します。(18分)

チリの国民投票はピノチェト時代の憲法の改正を圧倒的に支持

2021学生字幕翻訳コンテスト  課題5:「中南米とアメリカ」の受賞作です。<br><br> 2020年10月、チリで国民投票が行われ、ピノチェト独裁政権時代の憲法の廃止と新憲法の起草を圧倒的多数の国民が支持しました。これを祝って、数万人が街頭に繰り出しました。前年の2019年に社会経済的格差に対する大規模な抗議行動が国を揺るがした結果、根本的な社会改革への道に踏み出して、ちょうど一年となります。チリ最大のフェミニスト団体コルディナドラ・フェミニスタ8M(Coordinadora Feminista 8M)の広報担当ハビエラ・マンツィは、この国民投票は、政治家たちが何十年にわたり対応を怠ってきたことを、国民が実現させたものだ、と言います。(15分)

デブ・ハーランドの内務長官指名は先住民系米国人にとって「重要な一歩」

2021学生字幕翻訳コンテスト  課題4:「マイノリティの政治進出」の受賞作です。<br><br> 2020年12月、ジョー・バイデン次期大統領が、ニューメキシコ州の下院議員デブ・ハーランドを内務長官に指名しました。議会が承認した場合、ハーランド議員は先住民系米国人としては初めて閣僚の地位に就くことになります。ハーランドの指名は進歩派や120人以上の部族指導者たちが後押ししているもので、彼らは前の月にバイデン議員に手紙を送り、彼女を内務長官に選ぶよう促していました。「これは次期バイデン政権にとって非常に重要な一歩でした」と、オナー・ジ・アース(Honor the Earth)の事務局長ウィノナ・ラデュークは言います。彼女は農村地帯開発経済学者で、ネイティブ・アメリカン活動家です。「インディアンの人々こそが、この土地を管理する方法を知っています」。(7分)

『仕事は報いてはくれない』

2021学生字幕翻訳コンテスト  課題3:「ギグエコノミー」の受賞作です。<br><br> 新型コロナ感染症の拡大による経済危機で、何百万人ものエッセンシャルワーカーが、低賃金で不安定な労働条件の悪影響をもろに受けています。労働と経済的正義をテーマとするジャーナリストのサラ・ジャフィに、彼女の新著<cite>Work Won’t Love You Back:How Devotion to Our Jobs Keeps Us Exploited, Exhausted, and Alone</cite>(『仕事は報いてはくれない~~どれほど尽くしても、仕事は、私たちを搾り取り、疲れ果てさせ、孤独にする』)について話を聞きます。(9分)

ベゾスが退任してもアマゾンの「略奪的ビジネスモデル」は続く

2021学生字幕翻訳コンテスト  課題2:「巨大テック企業の脅威」の受賞作です。<br><br> アマゾン創業者ジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)氏が最高経営責任者(CEO)を退任すると発表しました。彼の下でアマゾンは、オンライン書籍販売の単一事業から多岐の事業にまたがる巨大なビジネス帝国にのし上がりました。しかし常識破りの急成長の裏には、略奪的なビジネスモデルがあります。民主主義を脅かすほどに富と力を集中させた巨大テック企業への懸念が高まり、議会で追及されたことが今回の退任発表につながったようですが、果たしてベゾスの退任でアマゾンは変わるのでしょうか?(8分)

100カ国以上がWTOに求めるワクチン特許の適用免除を米国が阻む理由は?

2021学生字幕翻訳コンテスト  課題1:「知的財産権と人命」の受賞作です。<br><br> 新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるために、ワクチン接種の重要性が叫ばれています。しかし、WTO(世界貿易機関)が加盟国に課す知的財産権保護の規定によって、大手製薬会社は新型コロナワクチンの生産や流通を独占しています。その結果、ワクチンが一部の豊かな国に集中し、貧しい国ではワクチン接種の見通しが立たないという不平等が生じています。この状況を変えるために、南アフリカとインドを中心に、WTOの知的財産権保護規定の一時的免除(waive)を求める提案がなされました(ウェイバー提案)。製薬会社に一時的に知的財産権(ここでは特許権)を放棄させ、各国が自由にワクチンを製造できるようにするというものです。南アフリカWTO国連代表部のガマ氏と、シャコウスキー議員に話を聞きました。(11分)

東京五輪開幕 コロナと酷暑で矛盾が煮詰まる利権の祭典

ついに始まってしまった東京オリンピック。テレビはメダル報道一色ですが、コロナ感染の激増と医療現場はひっ迫は隠しようがなく、IOCからは「パラレルワールド」発言も飛び出す始末。7月23日の開会式にぶつけた放送では、現地の抗議行動の様子と国内の反感を伝えると共に、それをねじ伏せて開催を強行する五輪システムそのものの問題を論じています。(25分)

東京五輪おことわり! 国内感染者急増で中止の声が拡大もIOCは耳を貸さず 儲けるのは誰?

日本では新型コロナ第4派で国内感染者数が急増しており、オリンピック主催団体に開催中止を求める声が強まっています。すでに一年先送りされた大会は、今年7月23日から始まる予定です。しかし日本のワクチン接種率はまだ3%以下にとどまり、先進国では最低レベルです。元五輪サッカー選手のジュールズ・ボイコフ教授は、国際オリンピック委員会(IOC)とホスト国との間で交わされる開催都市契約書が「極端に片務的」な内容であり、中止を判断する最終的な権限はIOCのみにあることを指摘します。(20分)

シアトルの戦いから20年:バンダナ・シバとロリ・ウォラックがWTO抗議運動を語る(前半)

2020学生字幕翻訳コンテスト  課題6:「グローバル貿易協定への抗議」の受賞作です。<br><br> 1999年11月30日、世界中から数万人の市民活動家がシアトルに結集し、世界貿易機関(WTO)の閣僚会議を中止させました。WTOで交渉されるグローバルな貿易協定は、非民主的で、世界中の労働者の権利や環境や先住民に害を与えていると多数の人々が考えるようになったのです。会場となったシアトル・コンベンションセンターを抗議者たちが人間の鎖で囲み、中心街を占拠しました。警官隊は、大半が平和的に抗議していた群衆に、催涙ガスとゴム弾を発砲しました。抗議行動は5日間続き、600人が逮捕されましたが、WTO協議はとん挫し、シアトル警察署長は辞任しました。WTO批判の先頭に立つ2人の重要人物、インドの物理学者で活動家のバンダナ・シバとNPO団体パブリック・シチズンのロリ・ウォラックに、20年後に話を聞きました。(10分)

フランシスコ教皇が日本で核兵器の廃止を要求 米国ではカトリック反核運動家が収監に直面

2020学生字幕翻訳コンテスト  課題5:「ラディカルな核廃絶」の受賞作です。 広島と長崎を訪問したフランシスコ教皇は、カトリック教会の最高指導者として被爆者と対面し、核兵器の保有は人道に反すると宣言しました。折しも米国では、カトリックの平和活動家7人が量刑判決を待っています。2018年4月4日に米国政府を平和に反する罪で告発する訴状を持ってキングスベイ海軍潜水艦基地へ侵入した「プラウシェアズの7人」です。同基地には少なくとも6隻の核弾道ミサイル潜水艦があり、各々が20個のトライデント熱核兵器を搭載しています。カトリックの反核運動について「プラウシェアズの7人」の1人、マーサ・ヘネシーに聞きます。

世界で一番幸せな場所? ディズニーの遺産相続人がディズニーランドの労働者酷使について批判

2020学生字幕翻訳コンテスト  課題4:「労働格差」の受賞作です。 ディズニー社の創業者一族の相続人アビゲイル・ディズニーが同社の不労働慣行や賃金について批判。カルフォルニアのディズニーランドで働く職員たちから話を聞き、労働環境について調査しました。彼女は以前、同社のCEOボブ・アイガーの途方もない巨額報酬と、同社の労働者の給与とのすさまじい格差について批判したことがあります。子供たちに夢を売るディズニーランドも、一皮めくれば劣悪な条件の労働者の犠牲の上に巨額の利益をあげる米国の大企業の典型です。(6分)

ベネズエラ外相:米国はラテンアメリカの政治に絶えず介入している

2020学生字幕翻訳コンテスト  課題3:「ラテンアメリカと米国」の受賞作です。 石油資源の豊富なベネズエラを標的とする米国の策謀は、先代のウゴ・チャベス大統領が1999年に就任して以来、20年にわたって続いてきました。後継のマドゥロ大統領を引きずりおろそうとする国内反対派の動きが2019年のはじめから活発になっていますが、ニューヨークタイムズ紙によれば、2018年9月にトランプ政権がベネズエラ軍の将校の一部と秘密会合を持ち、政権転覆について話し合っていた模様です。ベネズエラ外相ホルヘ・アレアサへのインタビューです。(8分)

気候変動が感染症の流行を 起こりやすくしている

科学専門の調査報道記者ソニア・シャーは、気候変動が原因でコロナのような感染症の流行が起こりやすくなっていると指摘します。気候変動で野生動物の生息地が破壊され、彼らの移動パターンが変化してヒトとの距離が今までにないほど接近したため、新たな病原体の発生可能性が高まっているのです。(8分)

アルンダティ・ロイ:資本主義は気候危機と不平等の解決を阻む「宗教の一種」)

2020学生字幕翻訳コンテスト  課題1:「気候危機と資本主義」の受賞作です。 100万種もの生物が絶滅に向かい、地球温暖化による危機もますます深刻化しています。地球上の生命の未来に資本主義が及ぼす脅威について、著名なインドの作家アルンダティ・ロイが語ります。(6分)

『地球が燃えている』ナオミ・クライン(4)極右白人至上主義の台頭は気候危機と関連

ナオミ・クラインが新著『地球が燃えている~気候崩壊から人類を救うグリーン・ニューディールの提言』の発売当日に、デモクラシー・ナウで語りました。日本でも先月(2020年11月)に翻訳版が出たので紹介します。 パート(4)はエコファシズムです。2019年3月15日、最初の世界的な学校ストが実施されたのと同じ日に、ニュージーランドのクライストチャーチで自称「エコファシスト」の白人男性がモスクを襲撃し100人近くを殺傷しました。温暖化懐疑論は未曾有の自然災害の前に影が薄くなりましたが、今度は温暖化の事実を認識したうえで、それに対する防衛手段としての白人至上主義のテロが世界各地で台頭しているのです。彼らが恐れるのは、途上国に対する「気候債務」です。気候変動が事実なら、その原因を作った先進国は富を途上国に再分配しなければならないからです。だから災害で故郷を奪われた気候難民が激増することを見越して、国境から締め出し、自分たちの富を守ろうとしています。その根源にあるのは、自分たちだけが自然を無制限に搾取する権利を持つという考え、キリスト教の人間中心主義と植民地支配がつくりあげた、白人キリスト教徒が世界の頂点に君臨し、他の「劣った」人間たちは隷属させ、生き物も地球もすべて自分たちを養うために存在するという思想です。これを打破して、人類全体が運命共同体であると認め、力を合わせて危機に対処する方向に向かうことができるかどうかが、いま問われているとクラインは指摘します。(11分)
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