ペンタゴンの御用「軍事専門家」 国防省のプロパガンダ策を検証

2008/4/22(Tue)
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25分

2003年3月に米軍がイラクに侵攻するに至るまでの助走期間中、米国の商業メディアは退役軍人たちを「中立的な専門家」として多数出演させました。登場するのは戦争支持派の軍事評論家ばかりで、反戦の立場からの声は聞かれませんでした。軍事評論家が主戦派に偏っていたのは国防総省の画策だったようです。

今年4月にニューヨーク・タイムズ紙は、国防総省がイラク戦争開戦に至る時期、イラクを差し迫った脅威として描き出すため、退役軍人75人を雇い「軍事評論家」としてテレビ出演させていたと報じました。元軍人たちを「宣伝部隊」と位置づけ、個人の意見を装ってペンタゴンの主張を国民に伝える役割を負わせたのです。
彼らはラムズフェルド国防長官(当時)じきじきの戦況説明会に呼ばれ、軍の機密情報を与えられ、話すべきポイントも指示され、軍の経費でイラクを視察していました。宣伝は新聞にも及び、9人の「御用評論家」たちがニューヨーク・タイムズ紙やウォールストリート・ジャーナル紙に記事を書きました。

おまけに、これらの元軍人の多くは軍需企業にもつながりを持っています。彼らが解説する戦略は、これらの企業の収益に直接かかわってきます。そこから事業収入を得ている元軍人たちには、中立な立場から評論する資格はないはずですが、放送局側はそうした背景をまったくチェックできていませんでした。

国民の判断力を信じない国防総省の民主主義軽蔑、軍の指示を受けていることを隠していた軍事評論家たちの国民に対する不誠実という問題に加え、こうした軍事評論家の背景をまったくチェックせず、彼らの情報への精通振りに少しも疑念をもたなかったというメディアにも大きな問題があったようです。(中野)

* ピーター・ハート(Peter Hart) ニューヨークの進歩的メディア批評団体FAIR(公正で正確な報道)の理事。同団体の雑誌Extra! に寄稿し、FAIRのラジオ番組CounterSpinの共同司会とプロデューサーをつとめる。
* サム・ガーディナー大佐(Col. Sam Gardiner) 退役空軍大佐。米国防衛大学で、戦略と軍事作戦を教えている

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字幕翻訳:田中泉 / 校正:関房江 
全体監修:中野真紀子・高田絵里