ユタの大学生 原野を救うため飛び入り入札で権利買い占め 前編
前半:ユタ州の学生「入札者のふり」で、政府による原野6万ヘクタールの石油ガス掘削向け競売を妨害
ユタ大学の一学生が約2万エーカーの原野を掘削から救うために、競売で「買い占めた」いきさつを話します。
米国土地管理局は2008年末、ユタ州南部に広がる連邦政府所有の原野における石油ガス採掘権の競争入札を断行しました。この売却には、多くの環境団体が強く反対していました。「南ユタ原生自然環境保全同盟」(Southern Utah Wilderness Alliance)のスティーブン・ブロックは、「激安販売だ。石油ガス業界へのブッシュの最後の置き土産」と非難しています。
環境団体が差し止め訴訟などで抵抗する中、ユタ大学で経済学を学ぶティム・クリストファーが、たった一人で公開入札の妨害をこころみました。彼は入札会場に入り込み、入札に参加することによって多くの区画の値をつり上げ、結果的に2万2000エーカー(約8900ヘクタール)を落札したのです。
彼の行動によって入札は中止され、その後の競売は延期されました。彼は検挙され、これから裁判所に初出廷するところです。とっさの思いつきで起こした行動が、ユタ州の広大な自然を石油採掘による環境汚染から救ったのです。ごく普通の学生が、どんな意図でこのような行動に出たのでしょう?
「環境の重要性はずっと気づいていて、いつか信念を持ったリーダーが現れるのを待っていた。でも結局、もうこれ以上待ちきれなくなって、その人物は自分でもいいのだという事実を認めざるをえなくなった」とティムは言います。(中野)
★ DVD 2009年度 第1巻 「環境とエネルギー」に収録
ティム・デクリストファー(Tim DeChristopher)
環境活動家、ユタ大学の学生。
http://www.bidder70.org/
字幕翻訳:川上奈緒子/校正:桜井まり子
全体監修:中野真紀子・付天斉