米国企業のCEOがプエルトリコの電力民営化を提案 島民はコミュニティ所有の太陽熱発電を要求

2017/11/1(Wed)
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2018学生字幕翻訳コンテスト 課題5:「気象災害と惨事便乗資本主義」の受賞作です。

巨大ハリケーンの直撃を受けたカリブ海の米国の自治連邦区プエルトリコでは、電力供給網が壊滅的な打撃を受け、水も電気も供給されない状態が長く続きました。連邦政府の災害復旧対策が本土に比べて不十分なことが指摘されていますが、その背景には長年にわたる半植民地状態と米国の金融機関に食い物にされた挙句の巨額債務と財政破綻がありました。

デモクラシー・ナウ!の現地取材により明らかになったのは、被災地に群がる米国企業の復興ビジネスのいかがわしさと、その一方で自然エネルギーでの復興に期待をかける現地の人々の抱負です。特に災害後の長期停電中に威力を発揮した太陽光発電は、将来の島の発展の鍵を握るものとして注目されています。従来のプエルトリコの電力供給はほとんどが輸入された化石燃料による発電に頼っていましたが、これを太陽光に切り替えればエネルギーの自立が可能になるのです。

しかし、米国の起業家でテスラ社CEOのイーロン・マスクのがいちはやく「プエルトリコを持続可能エネルギーのモデルにする」プランを提唱したように、プエルトリコの豊富な太陽光資源の大きな潜在力には本土の投資家にとっても大きな魅力です。太陽光発電への転換がこうした大企業の主導で進められるならば、プエルトリコの電力供給が自給可能になると同時に外資に支配されることを意味します。それしか選択肢はないのでしょうか?

この動画では、プエルトリコ電力労働者組合(UTIER)のアンヘル・フィゲロア・ハラミヨ委員長にインタビューし、イーロン・マスク氏の提案についての意見を聞きます。また、実際に100%太陽光発電で運営されていたためハリケーン後の大停電の中でも近隣で唯一電気を利用することができ、周辺の人々に貴重な支援を提供したカサ・ソルB&Bを訪ねて、経営者からそのときの経験について聞きます。(中野真紀子)

*アンヘル・フィゲロア・ハラミヨ(Ángel Figueroa Jaramillo):プエルトリコ電力労働者組合(UTIER)の委員長

*ティシャ・パストール(Tisha Pastor):ビエホ・サンファンで100%太陽光発電で運営されるB&Bカサ・ソルの経営者

Credits: 

字幕翻訳: クイーンズランド大学通訳翻訳修士課程(MAJIT)チーム 松下彩今子、呂永徳、小林紘子、中条愛里、坂本彩、安部早紀、モニカ・ウォング、長田奈七海 (2018コンテスト受賞時) 監修:中野真紀子