ボトルウォーターのウソ 水の民営化への抗議はテロ

2007/8/1(Wed)
Video No.: 
2
27分

1)ボトルウォーターのウソ:「中身は水道水」とペプシが認める

ソフトドリンク業界の大手ペプシ社は、人気のボトルウォーター「アクアフィナ」が、ただの水道水と変わりがないことを認めました。成果を拡大しているボトルウォーターに対するキャンペーンを牽引してきた米国監視NGOのCorporate Accountability International(略称CAI、「企業の社会的責任を追及する国際組織」、字幕では「企業責任インターナショナル」)からの圧力を受けて、ペプシはラベル表記を変更することに合意したのです。CAIのギグ・ケレットとフリーランス・ジャーナリストのマイケル・ブランディングに、ボトルウォーター業界の経済コストと環境コストについて聞きました。

水道水は汚く、ボトル水は安全でおいしい。そう信じてボトル水ばかり買ってのんでいる人は多いでしょう。しかし、これは企業が巨額の広告費をかけて消費者に信じ込ませている神話で、実は水道水を精製しただけのボトル水も多く、安全管理基準も、水道水の方が厳しいと、CAIのケレット氏は言います。

エイミーは、毎日使われる約6千万本のボトルは、ほとんどがそのまま捨てられ、毎年約2千万バレルの石油が、ペットボトルの生産に使われているため、環境の観点からも問題があると指摘。水源は同じでも、水道水を精製しただけで、7千倍以上の値段で売られていることを紹介しています。

「水の民営化」は、大きな社会問題も引き起こしています。第1の問題は、企業が販売するための水を大量に採取するため、水資源が枯渇する地域が出てきていること。インドではコカコーラとペプシが水資源を枯渇させたので、農作物が育たなくなりました。第2の問題は、水の民営化による価格高騰で、貧しい人の生活と命が脅かされること。ボリビアでは、民営化された水が、住民の抗議行動で再び公共のものとなった例もみられました。

「ボトルの外を考えようキャンペーン」では、ボトル水の購入をやめ、公共水道施設にお金をかけ、水道水の安全さに対する理解を広めようとするもの。サンフランシスコでは、年間約50万ドルも費やしていたボトル水の購入をやめました。ソルトレイクシティー、NY、ミネアポリスなどでも成果をあげています。

 

2)水道事業の民営化への抗議者がテロ行為の実行で起訴される エルサルバドル

先月エルサルバドルで、水道事業の民営化に対して抗議を行った13人がテロ行為の実行で起訴されました。エルサルバドルで通信や電気などが民営化されたときに、値段が高騰して多くの貧しい人が利用できなくなったという歴史があったため、同じことが水に対して起きないように、数百人が集まって抗議行動をしたのです。

エルサルバドルではアメリカの愛国者法を手本にした法律があり、仮に有罪になれば、彼らは最高60年の禁固刑を受ける可能性があります。

「水は基本的人権」と訴える彼らが、「テロ行為」をしたものとして処罰される。
先進国企業の利益のために、地元の人々の人権が蹂躙される例は、中南米を通して長くみられてきました。世銀や米国政府が進める新自由主義の弊害に対して、エルサルバドルの人々と一緒に闘っている、エルサルバドル人民連帯委員会のクリスタ・ハンソン氏に話を聞きます。 (古山)

★ DVD 2008年度 第4巻 「食の危機」に収録

<参考>
デモクラシー・ナウ! 2007年8月1日放送 水道事業の民営化に対する勝利:米カリフォルニア州ストックトン市議会 住民反対を押し切り決定した水道事業民営化を一転、中止へ

1)
* ジジ・ケレット (Gigi Kellett).
NGOのCorporate Accountability International(略称CAI、「企業の社会的責任を追及する国際組織」)のキャンペーン・ディレクター。現在、「ボトルの外を考えるキャンペーン」を推進中。ボストンより中継します。
* マイケル・ブランディング (Michael Blanding)
フリーランス・ジャーナリスト。 ウェブサイト Alternet.orgに『ボトル水の嘘』という記事を掲載した

2)
* クリスタ・ハンソン(Krista Hanson)エルサルバドル人民連帯委員会のプログラム・ディレクター

Credits: 

1)
字幕翻訳:白田さやか  校正:斉木裕明
全体監修:古山葉子

2)
字幕翻訳:福谷麻由  字幕校正:斉木裕明  全体監修:古山葉子