ティム・ショロック:朝鮮戦争終結には北朝鮮との直接対話しかない

2010/11/24(Wed)
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2010年11月23日、北朝鮮が行なった韓国の延坪(ヨンピョン)島への砲撃は日本でも大きく取りあげられました。この砲撃に対し韓国のイ・ミョンバク(李明博)大統領は「断固とした措置」をとると述べ、オバマ大統領も「北朝鮮の行動は言語道断だ」と非難しました。朝鮮半島を30年に渡って取材してきたティム・ショロックはこうした報道とは違う見方をしています。

ショロックによれば、北朝鮮の砲撃は、それに先だって行なわれていた大規模な米韓合同の軍事演習への報復なのです。「北朝鮮は演習の数日前、軍事境界線より北に着弾したら報復すると韓国に対して警告しており、実際に着弾はあったようです。砲撃はそれに対する報復なのです」。2008年に発足した李明博政権は、それまでの金大中、盧武鉉政権による融和政策(太陽政策)を大幅に転換し、北朝鮮に対して強硬路線を取っており、それ以来、南北の衝突が増加していると言います。

 こうした衝突を防ぐためには、朝鮮戦争を本当に終わらせることが必要だとショロックは言います。朝鮮戦争は和平協定ではなく、1953年の休戦協定で停止したのであり、敵対関係が続いているからです。核開発についても北朝鮮は明らかに米国と直接交渉を望んでおり、朝鮮半島の緊張を緩和するには、和平協定で国境を画定し、北朝鮮を独立国家として認めることだと言います。(桜井)

*ティム・ショロック(Tim Shorrock) 調査報道記者。著書はSpies for Hire: The Secret World of Intelligence Outsourcing(『雇われスパイ 諜報アウトソーシングの知られざる世界』)

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字幕翻訳:桜井まり子/全体監修:中野真紀子