イスラム学者タリク・ラマダン 中東に広がる反米運動を語る

2012/9/13(Thu)
Video No.: 
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25分

一年ほど前、米国で作られた映画がイスラムを冒涜しているとして、北アフリアや中東に反米デモが広がりました。各国の米大使館が襲撃され、リビアでは大使など4人が殺害されました。「アラブの春」を経て、公正な自由選挙が実施され、その結果誕生したのはエジプトでもチュニジアでもムスリム同胞団出身の大統領でした。穏健派のムスリム同胞団の政府の下で反米運動が激化するのはなぜなのか?

欧州の代表的なイスラム知識人タリク・ラマダンは、「アラブの春」以降の流れはイスラム主義をめぐる内部の葛藤や、複雑な経済利権の絡み合いなど、様々な要素を斟酌する必要があるといいます。

エジプトではモルシ政権が倒れた後、軍が実験を握って反対派デモを武力鎮圧しムスリム同胞団を弾圧しています。オバマ大統領もとうとう軍事支援の一部を見合わせると表明せざるを得なくなりました。イスラム主義政権を嫌う米国がクーデターを扇動したという説も飛び交いましたが、米国とモルシ政権の関係はそんなに単純なものではなかったようです。現在の状況をより深く理解するためにも、ぜひ見ておきたい動画です。(中野真紀子)

タリク・ラマダン(Tariq Ramadan)オックスフォード大学現代イスラム学教授、カタールのイスラム研究学部の客員教授。Radical Reform: Islamic Ethics and Liberationなど、イスラムやヨーロッパに関する影響力のある著作が多い。

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字幕翻訳:加藤麻子/校正:桜井まり子
全体監修:中野真紀子