「帝国の基地は要らない」米軍の海外基地に反対する国境を超えた運動

2008/4/18(Fri)
Video No.: 
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11分

世界中で700以上あるという米軍基地。1980年代末に共産党独裁体制が瓦解しNATO体制に入ったチェコでは今、「ノンバイオレンス・チェコ」という名の非暴力直接行動主義の運動が、アメリカが世界各地で構築を推進するミサイル防衛システムのレーダー基地を、国内に建設することに反対するオンライン署名を、世界に向け募っています。ミサイル防衛は軍拡スパイラルと冷戦の再来を招き、軍需産業に巨利を与えるだけであると話すリーダーのヤン・タマスは、チェコの基地化を阻むためアメリカ各地を回り、グローバルな軍需産業に対抗する、グローバルな平和運動を訴えます。(広島秋葉市長の運動へのメッセージ動画、チョムスキーやゴルバチョフ等の賛同メッセージがあるウェブサイトにて、オンライン署名続行中。(2010年現在アクセスできません))

一方イギリスが米国に貸与し米軍基地が建設されたインド洋のある島をめぐっても、米軍基地がその地の人々の生活をいかに破壊したかが法廷で問われています。1965年に宗主国イギリスがディエゴガルシア島を島民に無断で米軍基地に貸与し、住民を追放しました。この処分の不当を訴え、チャゴス難民組織(The Chagos Refugee Group)が1997年にイギリス政府を相手取りイギリスの裁判所に提訴した裁判は、原告側の主張が勝利を収め、島民の帰還権が認められました。しかし政府は帰還を禁じる勅令を発し、裁判所の判決に対抗しました。これにより問題の解決は今、貴族院での審議に進んでいます。幼いころに島を追われたままのオリビエ・バンクールは、ゾウガメに対するほどにも島民の生活と幸福を顧慮しなかったイギリス政府の、非合法で非人道的行為を非難します。

アメリカの軍事覇権主義が米軍基地という形で世界各地の市民の平和な生活を脅かす現状をヤン・タマスとオリビエ・バンクールに聞いてみました。(佐藤真喜子)

★ DVD 2009年度 第4巻 「海外に広がる米軍基地」に収録

* ヤン・タマス(Jan Tamas)チェコ共和国の活動家。東ヨーロッパに配備される予定の米ミサイルシステムに反対する連合体「ノー・ベイシス・イニシアティブ」の創始者。

* オリビエ・バンクール(Olivier Bancoult)米軍基地の島ディエゴ・ガルシアの出身。4歳のとき故郷を追われ、現在はチャゴス難民グループに所属。

Credits: 

字幕翻訳:佐藤真喜子/校正:永井愛弓
全体監修:中野真紀子