セイモア・ハーシュ 「アラブの春」と湾岸諸国、サウジアラビア、米国

2011/6/3(Fri)
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17分

米国政府はありもしない核兵器開発疑惑を煽り立ててイランを叩こうと一生懸命ですが、アラブ世界の各地に民衆蜂起が吹き荒れる中、むしろ注意すべきはサウジアラビアだとシーモア・ハーシュは言います。この専制的な神権国家は、アラブの春に対して心底おびえ、反革命に走っているのだと。例えば隣国のバーレーンはペルシャ湾岸の小さな島国ですが、ここではスンニ派の政府が住民の多数を占めるシーア派にひどい弾圧を加えていますが、同じようにシーア派住民を弾圧しているサウジはバーレーン政府の弾圧を支援しています。バーレーンに第五艦隊の基地をおく米国も、弾圧は見てみぬふりです。

エジプトではムバラク元大統領がついに裁判にかけられることになり、湾岸諸国の治世者たちはどこもパニック状態です。砂漠の民ベドウィンから巨大な石油コンビナートの所有者に成り上がった支配層は、独裁権力を手放すまいと必死です。彼らは湾岸協力会議(GCC)という、国内の敵ではなく国内の反体制派に対する防衛のための地域協力機構をつくっています。こんな状況から米国民の目をそらせるには、イランの脅威は格好の材料です。米国はいつまで無意味なイラン制裁を続けるのだろうかと、ハーシュ記者は嘆きます。(中野真紀子)

*セイモア(シーモア)・ハーシュ(Seymour Hersh) ピュリツァー賞に輝くニューヨーカー誌の調査報道ジャーナリスト。Iran and the Bomb: How Real is the Nuclear Threat?

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字幕翻訳:大竹秀子/全体監修:中野真紀子/サイト作成:丸山紀一朗