アブダビがシティグループの最大株主に 石油高騰で金融危機に救世主

2007/11/29(Thu)
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金融危機の急展開で米国やヨーロッパの金融システム全体が揺らぎ、大型救済措置でドルの凋落はもはや避けられないようですが、ドルの価値低下で気になるのがアラブ諸国の動きです。

2007年11月27日、アラブ首長国連邦の中心国アブダビが米国の最大手銀行シティグループの株式75億ドル相当を買収し、同グループの最大株主となりました。米国の信用危機が進行し、景気後退に向かうことが鮮明になる一方、原油価格は高騰が続き、1バレルあたり100ドルが目前となっていた時期の動きでした。湾岸諸国からの投資は、経営不振に陥っている銀行への救済処置と見られていますが、その背景にあったのは、石油決済通貨であるドルの下落でオイルダラーが目減りするという事情でした。

その数週間前のOPEC首脳会談では、イランのアフマディネジャド大統領が、ドルを「ただの紙きれ」と呼び、ベネズエラとともに石油の決済通貨をドル以外に切替えよと訴えて揺さぶりをかけていました。このときはサウジアラビアなど親米国家が同調せず、声明にも盛り込まれませんでしたが、今後ドル資産の価値が急速に目減りすればアラブ産油国はどのように対応するのでしょうか。

ニューヨーク大学の経済学教授ノリエル・ルービニとハンプシャー大学教授で、「血と油」の著者マイケル・クレアに話を聞きます。

ノリエル・ルビーニ(Nouriel Roubini) ニューヨーク大学の経済学教授。クリントン政権の経済顧問として活躍し、現在は人気サイト「グローバル・エコノミクス・モニター」を運営している。住宅市場の減速をいち早く予測し、2007年11月の時点で米国は深刻な景気後退に突入することが「避けられない」と見ていた。

マイケル・クレア(Michael Klare) ハンプシャー大学教授で平和と国際安全保障研究が専門。『血と油 アメリカの石油獲得戦争』始め著書多数。邦訳も多い。

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字幕翻訳:川上奈緒子 / 校正:桜井まり子
全体監修:中野真紀子