エコノミックヒットマンが明かす世界金融市場崩壊の理由とやり直しの道

2009/11/10(Tue)
Video No.: 
3
14分

サブプライムローン市場の暴落、金融破綻、失業率の激増──こうしたことはみな、ジョン・パーキンスにとっては、なじみ深い光景です。ただし、かつては第三世界に特有の現象でした。パーキンスは、まさにその事態を引き起こすための工作を密かに仕掛けるエコノミックヒットマンでした。彼の新著は、金融市場を崩壊にもたらした原因を説明し、世界経済たて直しの処方箋を提案します。

パーキンスによれば、世界金融危機をもたらしたのは資本主義そのものではなく、レーガン政権以降に世界を席巻した特殊な型の資本主義のせいだと言います。それは突然変異によって生まれた資本主義ウイルスです。元祖ミルトン・フリードマンの経済理論では、企業活動の目的は利潤追求だけに限られており、社会や環境への負荷は考慮から外されます。企業活動に対するあらゆる規制は悪であり、すべての経済活動は民営化して完全な自由競争に委ねるべきだとされました。株主利益の拡大だけを目指す略奪的な資本主義の勃興によって、世界は安定性を失い 持続不能で不公正で危険な場所になりました。

昔は世界に200余りの国があり、それらを一握りの大国が支配していました。しかし今では同じ200余りの国々の上に、多国籍企業が大きな雲の渦巻きのようにのしかかっています。国境にも法律にも縛られず地球全体を支配して、市場と資源のあるところとはどんな体制とも取引します。もはや選挙でだれを選ぼうが、政治家には多国籍企業による支配を変えることはできません。これを変えるにはどうすればよいのでしょうか?パーキンスの提案を聞きましょう。(中野)

*ジョン・パーキンス (John Perkins) 1971年から1981年までの間、国際コンサルティング企業チャス・T・メイン社のチーフエコノミストをつとめるかたわら、本人のいうところの「エコノミックヒットマン」として活躍した。ニューヨーク・タイムズのベストセラー『エコノミック・ヒットマン 途上国を食い物にするアメリカ』の著者で、次作はThe Secret History of the American Empire(『アメリカ帝国の秘史』)。 新著は Hoodwinked: An Economic Hit Man Reveals Why the World Financial Markets Imploded and What We Need to Do to Remake 『世界金融市場崩壊の理由と やり直しの道』

Credits: 

字幕翻訳:田中泉/校正:中野真紀子