石炭企業からの投資撤退 スタンフォード大学の決断

2014/5/7(Wed)
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米カリフォルニア州の名門校スタンフォード大学が、学生主導の運動に賛同して、石炭生産会社への投資を停止すると発表しました。化石燃料生産会社への投資を見直すよう要求する動きは、ここ数年全米の大学で展開されており、多くの学生が、自分たちの教育がたとえ一部とはいえ地球環境を悪化させるエネルギーにより賄われている状態に抗議の声を上げています。しかしこれまで抗議運動はおおむね残念な結果に終わり、ハーバード大学では学生が逮捕されるという事態に至りました。

アメリカの大学の多くは、寄付金や収益の蓄積を“Endowment”(基金)として運用し、その運用益を大学経営に当てています。スタンフォード大学の運用額は、世界でも最大規模であり、その総額は187億ドル(約1兆8000億円)にも上ります。今回投資停止の対象となった具体的な金額は公表されていませんが、実際に化石燃料への懸念を理由に投資を撤退した主要大学はスタンフォードが最初であり、注目の的となっています。スタンフォード以外に今回投資を停止した他の11機関は、寄付基金の運用資産が96万~1億2400万ドルと比較的小規模でしたが、これらの大学は石炭に加えて石油・天然ガス会社への投資も停止しました。

ワシントン大学セントルイス校では学生たちが、米国の石炭最大手のピーボディ社との関係を絶つよう大学に要求しています。ピーボディ社は、同社のCEOが大学の理事に名を連ねる他、大学のリサーチグループ「クリーンコール実用化協会」を設立し、資金援助を行ってきました。

番組の中でスタンフォードの学生が語るように、多くの学生は、なにか「具体的な」形で気候変動抑制に向けて行動を起こすことを望んでいます。自分たちが今後生きていく世界を変えたいという若者たちの熱意に、高利益の化石燃料生産会社と密接な関係を長年にわたり築いてきた学術機関がどう対応するかが、今問われています。(永井愛弓)

*マイケル・ペニュエラス(Michael Peñuelas): スタンフォード大学で「化石燃料要らずのスタンフォード」(Fossil Free Stanford) を主催する学生

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字幕翻訳:川上奈緒子/校正:永井愛弓
全体監修:桜井まり子