温室効果ガスは予想を超えた速さで増加中 新政権の対策は? 後編

2009/2/26(Thu)
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後半:気候変動関連のロビイストがこれまでになく増加

公共政策の透明性を確保するために行政を監視する調査ジャーナリズムを育てることを主目的として活動するNGO「公益擁護センター(Center for Public Integrity)」の報告によると、気候変動問題を活動分野とする米国のロビイスト数はここ5年間で4倍に増えたといいます。

もちろんこの中には代替エネルギーや健康・環境政策関連のロビイストも含まれていますが、その大多数は大手製造業・エネルギー関連企業などの気候変動対策反対勢力に雇われており、気候政策を歪める大きな要因となっています。

連邦上院での公聴会で共和党に招かれ、気候変動対策の意義をかつての禁酒法になぞらえて否定する証言をした物理学者ウィリアム・ハッパー氏が代表を務める研究所には、石油大手のエクソン・モービル社から70万ドル超える資金が提供されているとの指摘もあります。この証言に対するクリストファー・フィールド教授の反論を紹介します。

それと並んで「行政監督センター」所属のマリアンヌ・ラベル記者からも、特に金融大手が気候問題への発言力を拡大するなか、対策が排出権取引市場の活用を中心とした産業政策に集中することで、汚職や非効率がまんえんする利権あさりの場となりかねないだけでなく、新規エネルギーの開発などを含めた総合的な対策の実効性を損ないかねないと云う問題点について語ってもらいます。(斉木)

*クリストファー・フィールド(Christopher Field) カーネギー研究所の地球生態学科の設立者。スタンフォード大学の生物学と地球科学の教授。 2008年9月、「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)の第2作業部会の共同議長に就任。

*マリアンヌ・ラベル(Marianne Lavelle) NPO「公益擁護センター(The Center for Public Integrity)」のスタッフライター。「クリーン・コール」(無公害石炭燃焼技術)問題をはじめとするエネルギーや環境に関する報告書が、同センターのウェブサイト(http://www.publicintegrity.org/)に数多く掲載されている(英文のみ)。

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字幕翻訳:さかまきさきえ/校正:斉木裕明
全体監修:中野真紀子・付天斉