ウィキリークス:中南米での影響

2012/8/3(Fri)
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19分

スウェーデンへの身柄引き渡しに抵抗して英国の裁判所で闘ってきたジュリアン・アサンジですが、ついに司法の道は万策つきてエクアドル大使館に逃げ込んで亡命を申請しました。まっ先に浮かぶ疑問は「なぜエクアドル?」 人権保護の発達した欧米ではなく、政情の不安定な中南米の国を選んだのはなぜでしょう。その答えは、中南米諸国と米国との長年にわたる外交関係にあります。

この少し前、アサンジがホストを務めるロシアトゥデイの対談番組に、エクアドルのラファエル・コレア大統領が登場しました。ここでコリア大統領が紹介したジョークが、すべてを物語っています―「世界の中でクーデターが絶対に起きない国は米国だけだ。米国大使館がないからね」。米国大使館は駐在国の警察や軍隊やマスコミに多額の資金を流して意のままに操り、自国に都合のよい政策をとらせるために隠然とした力をふるいます。もっとダーティーな仕事はCIAが引き受けて米国に反抗する政権を倒し、中南米の政情不安定の原因を作ってきました。2000年以降だけでも、いくつもあります。

2002年4月にはベネズエラの軍事クーデター ウゴ・チャベス大統領が2日間監禁。
2009年6月ホンジュラスの軍事クーデター マヌエル・セラヤ大統領の国外追放。
2010年9月エクアドルの警察の反乱 ラファエル・コレア大統領の身柄を拘束。
2012年6月パラグアイの弾劾裁判でフェルナンド・ルゴ大統領罷免。

こうした関係を具体的に明るみに出したのがウィキリークスによって開示された一連の米国国務省外電です。中南米諸国ではリーク外電を元に数多くの衝撃的な報道がなされました。ウィキリークスが中南米に与えた影響を見てみましょう。
(中野真紀子)

*ピーター・コーンブルー(Peter Kornbluh,)ネイション誌の特集号「ウィキリークスとラテンアメリカ」を編集。ジョージ・ワシントン大学内に設置されたNGO国家安全保障アーカイブのラテンアメリカ担当上級研究者

Credits: 

字幕翻訳 中野真紀子