米国ではアサンジに起訴状が? ストラトフォー社漏洩メールが示唆

2012/2/29(Wed)
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ウィキリークスは2月27日から民間情報機関ストラトフォーの内部メールを大量に公開(The Global Intelligence Files)していますが、その中に米司法省がすでにジュリアン・アサンジに対する極秘の起訴状を用意しているとの情報が見つかりました。「アノニマス」のハッカーたちがストラスフォー社のサーバーから入手した約500万のメールのうちの1通です。

アサンジの訴追をめぐってはバージニア州で秘密の大陪審が開かれていることが以前から報じられていましたが、どうやら正式起訴の決議が出たということのようです。これで米国に身柄を引き渡されれば即座に収監されることになります。そうなればブラッドリー・マニング上等兵のように外部との連絡を絶たれて、拷問に近い独房監禁におかれる可能性もあります。

テキサスの民間企業ストラトフォーは、大企業だけでなく米国の政府機関や軍にも機密情報を提供して「影のCIA」と呼ばれます。米国の諜報機関との間に頻繁な人材の往来があり、その実態は「CIAの民営化」に近いもののようです。その典型がアサンジの極秘起訴状を入手したというメールを書いた諜報部門責任者フレッド・バートン(Fred Burton)で、ストラトフォーに来る前は米国務省の外交保安局傘下の諜報組織DSSの職員でテロ対策では世界有数の専門家です。ウィキリークスの情報公開で実態をさらされた「影のCIA」は、民間企業でありながら政府の極秘情報を入手し、顧客に販売しています。これが合法であれば、ウィキリークスが政府情報を無償で公開したことを、どうして罪に問えるのか? アサンジのスパイ容疑はつまるところ、ジャーナリストが提供された情報を公開したことに尽きるのですから。

英国ノーフォーク州の邸宅に軟禁されているアサンジは現在、スウェーデンへの身柄引き渡しに抵抗して裁判で争っていますが、英国最高裁は5月30日に最終上告を棄却しました。ただし特例措置として、アサンジ側が異議申し立てをできるように引渡し命令に14日間の猶予を与えました。スウェーデンに引き渡されれば、そこから米国に引き渡される可能性が増すことが懸念され、事態は切迫しています。(中野真紀子)

・ストラトフォー社の内部メール公開に際してのウィキリークスの記者会見(2012年2月27日)

*マイケル・ラトナー(Michael Ratner) 「憲法上の権利センター」名誉会長で、ジュリアン・アサンジとウィキリークスの法律顧問を引き受けている。

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字幕翻訳:田中泉 校正・サイト掲載:桜井まり子
監修:中野真紀子