エルサレムの歴史的ムスリム墓地をつぶして「寛容の博物館」?

2010/2/10(Wed)
Video No.: 
4
10分

ロサンゼルスで「寛容の博物館」を運営し、人種差別をなくすための啓蒙教育を行っているユダヤ系人権団体サイモン・ウィーゼンタール・センターは、日本では雑誌『マルコポーロ』の廃刊事件のおかげで、「ホロコースト否定論」や「ユダヤ陰謀説」に目を光らせて取り締まる圧力団体のイメージの方が強いかも知れません。この団体は今、エルサレムにも「寛容の博物館」を建てる計画を進めていますが、その予定地には十字軍の時代に遡るパレスチナのイスラム教徒の墓地(マミラ墓地)があります。何世代にもわたる歴史的な墓地をつぶして、いったいどうして「寛容」という名の博物館が建つのでしょう。

パレスチナ・ムスリムの歴史遺産ともいえる墓地の破壊を止めようと、埋葬された人々の家族が建設差し止めを求める請願書を国連に提出しました。コロンビア大学の歴史学教授ラシード・ハーリディーも、その一人です。請願書提出家族の代理人であるマイケル・ラトナー弁護士と共にスタジオに招き、この事件に象徴されるイスラエルによるパレスチナ人の存在の末梢と歴史の書き換えについて話を聞きます。(中野)

*ラシード・ハーリディー(Rashid Khalidi)
コロンビア大学アラブ現代史教授 Sowing Crisis: American Dominance and the Cold War in the Middle EastIron Cage: The Story of the Palestinian Struggle for Statehoodなど著書多数

*マイケル・ラトナー(Michael Ratner)
「憲法上の権利センター」(Center for Constitutional Rights)代表

Credits: 

字幕翻訳:斉木裕明/校正全体監修:中野真紀子・付天斉