米国はイエメンで危険なゲームをしている 特殊部隊の秘密戦争

2011/3/31(Thu)
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サーレハ政権を支えてきた米国がイエメンでとどのような活動をしてきたのか?先のイエメンの話題のフォローアップで、米国の秘密軍事活動がサレハ政権の弱体化を引き起こす引き金になったとスケイヒルが論じます。
米国の情報機関によれば、イエメンのアルカイダ(AQAP)こそが米国本土の安全保障上の最大の脅威です。そこで米国はサレハ大統領の許可のもとイエメン国内で秘密戦争を行ない、アルカイダのキャンプを爆破したり暗殺を行ったりしていました。それは必然的に多数のイエメン住民の巻き添え被害を生み、怨念を買います。サーレハ大統領が国民を欺いて、ひそかに空爆の許可を与えていたばかりか、自国軍の誤爆であると発表して米軍をかばっていたことがウィキリークスが公開した外交公電でばれてしまったこともあり、サーレハは米国の手先だと見る人が、部族指導者や政権内部にさえ増えてきたとスケイヒルは指摘します。
米国はすでに2002年ブッシュ政権の初期にイエメンに無人機を飛ばしてテロリスト容疑者6人を爆殺していますが、米軍特殊部隊による秘密戦争をエスカレートさせたのはオバマ政権です。正規の戦場の外で行われる秘密作戦は、中央軍司令官の権限で行われており、議会を無視するどころか大統領の承認さえもいりません。世界中が戦場であり米国がどこでも好きに攻撃できるというブッシュ政権の「テロとの戦争」ドクトリンをさらに広げ、2009年に9月のペトレアス司令官の命令書により、米軍特殊部隊は中央軍司令官が必要だとみとめれば世界のどこでも標的の殺害ができることにしたのです。CIAは議会に活動を報告する義務がありますが、JSOCのような米軍の秘密部隊は、議会の監視をすりぬけてしまうのです。〈中野真紀子)

*ジェレミー・スケイヒル(Jeremy Scahill) ネイション・インスティテュートのライティングフェローで『ブラックウォーター 世界最強の傭兵部隊』の著者
*ジョシュア・ファウスト(Joshua Foust) 元国防情報局のイエメン専門家 米国安全保障プロジェクトのフェロー

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字幕翻訳:大竹秀子/全体監修:中野真紀子/サイト:丸山紀一朗