エクアドル大使館のジュリアン・アサンジ 2014年7月

2014/7/7(Mon)
Video No.: 
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34分

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このところウィキリークスの活躍が目立ちます。5月はじめから英国の原子力潜水艦や核ミサイルの安全管理体制がどんなに底抜けかを暴いた内部告発を掲載したり、難民船を爆破してリビア移民の流入を防ごうとしたEU当局の悪辣な計画を暴いたりと快調に飛ばし、6月にはTPP、TIPPと並んで「三位一体」と呼ばれる「新サービス貿易協定」(TiSA)の交渉文書を公開しました。そして極めつけは、TPP交渉の秘密草案のうち医療品関連の文書を公開し、それと同時に残りのTPP交渉秘密草案をリークした者に10万ドルの報奨金を出そうというキャンペーンも開始しました。

TPP交渉はいま大詰めを迎えており、オバマ大統領が求めるファストトラック(貿易促進権限)に同意するかどうかで米国議会は大きく割れ、下院で辛くも否決されましたが再提出を求める声もあるようで、まだ予断は許されません。とはいえこうして、民主主義に反する徹底したd秘密主義の交渉に対する反対の声が党派を超えて急速に反対が広がってきたのも、もとはといえばウィキリークスが交渉草案を暴露して内容が明らかになったおかげです。ウィキリークスがなければ、私たちには知る手段がないのですから。

ウィキリークスは秘密の暴露だけでなく、すでに公開されている情報を誰でも利用できるようにする公開ライブラリーにも取り組んでいます。最近、「1978年」という重要な年に川さr他米国大使館の外交公電50万点以上が、「米外交データベース」という公開ライブラリに追加されました。埋もれている公文書にインデックスをつけ、データベース化してネットで検索できるようにすれば、飛躍的に利用価値が上がります。こうした新しい情報公開の形、新しいジャーナリズムの形を開拓しているのもすごい。 このように絶好調に映るウィキリークスですが、編集長のジュリアン・アサンジは現在もロンドンのエクアドル大使館から一歩も外に出られないままです。3年近くも運動や日光浴の極度の不足が続き、健康にも問題が出ているようです。独房監禁の囚人だって一日一時間ぐらいの運動は許されているのですから、もはや人道問題ではないかと思われます。

デモクラシー・ナウ!は昨年(2014年7月)と今年(2015年6月)の2度にわたってロンドンのエクアドル大使館に身を寄せるジュリアン・アサンジを訪れ長時間インタビューを行っています。この動画は昨年7月のときのもので、アサンジをめぐる米国とスウェーデンの捜査について詳しく聞いています。

エクアドルに政治亡命を認められたアサンジの移動を阻んでいるのはスウェーデンと米国でそれぞれ別個に進められている2件の刑事捜査があります。そのうち彼が深刻に恐れているのは米国の秘密大陪審による訴追なのですが、それに比べて言いがかりに等しいウェーデン当局の性的不品行をめぐる事情徴収のことばかりが注目され、真の脅威を覆い隠していると彼は言います。

また、エドワード・スノーデンを香港脱出でウィキリークスが果たした中心的な役割についても語っています。

最近ようやく、スウェーデン側の検事が英国に来て事情聴衆を行うことに同意するという若干の譲歩がありました。この動きが彼の早期解放につながるとよいのですが。(中野真紀子)

 

*ジュリアン・アサンジ(Julian Assange) ウィキリークス創始者、編集長

Credits: 

字幕翻訳:川上奈緒子 / 校正: 中野真紀子

English Script: 
http://www.democracynow.org/2014/7/7/exclusive_inside_embassy_refuge_julian_assange