メディア系列化容認に動くFCC クロスオーナーシップ 後編

2007/12/17(Mon)
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6分

米国ではメディア集中排除の見地から、一つの企業が新聞社とテレビ・ラジオ放送局を同じ都市において所有することが禁じられてきました。このメディア系列化規制の緩和に向けた動きがここへきて再び活発化し、激しい攻防が繰り広げられています。

FCCは2003年にも一度クロスオーナーシップ解禁を決定した事があります。それに対して何百万人もの市民から激しい反対の声が起こり、プロメテウス・ラジオ・プロジェクトを中心とする多数の市民団体が起こした訴訟に破れ、FCCは規制緩和を撤回することになりました。ところが2007年秋になってFCC委員長ケビン・マーティンがふたたび系列化規制の緩和に動き始め、12月18日にはとうとうクロスオーナーシップを容認するFCCの決定が下されてしまいました。

その後ただちに反対運動が起こり、2008年5月には上院でFCCの決定を阻止するための決議が超党派の議員グループの呼びかけで可決されました。今後は下院の動きに焦点が移るでしょう。もともとメディア系列化(クロスオーナーシップ)が規制されていない日本では、この問題はあまり重要なものと捕らえられていないようです。なぜ米国では大勢の市民が反対の声を上げているのかを考えることは、メディアの系列化に鈍感になってしまった私たち自身を振り返る、よい機会でしょう。

昨年10月にケビン・マーティンFCC委員長がメディア所有規制容認の提案を出した時点のものと、12月18日のFCCの決議直前に放送されたもの、2本をご覧下さい。(中野)

★ DVD 2008年度 第3巻 「メディアの現在」に収録

* クレイグ・アーロン(Craig Aaron)メディア改革推進団体「フリープレス」理事

Credits: 

字幕翻訳:校正:字幕翻訳:田中泉 / 校正:桜井まり子
全体監修:中野真紀子