105000個のタトゥー:見える死者と見えない死者を身体に刻む

2010/3/9(Tue)
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22分

米国の侵攻から7年が経ち、イラクの戦没者数は公式発表で10万人、実際には100万を超えると推測されています。しかしイラク人の死は米国では話題にのぼらず、死者の数は見えません。イラク系米国人アーティストのワファー・ビラールは、膨大な数の「見えない」イラク人死者を作品で表現しようとしました。

」ニューヨークのエリザベス財団美術館で3月8日に24時間のライブパフォーマンスを行い、自らの背中に、イラクでの死者を表す刺青を彫ります。米軍の死者5千人を表す斑点の下には、特殊インクで彫り込まれたラク人死者を表す10万個の斑点が描かれます。この10万個は普段は見えず、紫外線をあてた時にだけ浮かび上がります。

確かにビラールのパフォーマンスは、強烈な力で、見えないイラクの死者たちに、人々の目を釘付けにします。アートを使って政治的な対話に人々を引き込むことが狙いなのだと彼は言います。サダム時代のイラクで美術を学び、当局の弾圧をかわすため抽象的な表現形式を取るようになったビラールの作品は、つねに政治的なメッセージに満ち、イラク難民という背景を色濃く反映しています。(中野)

*ワファー・ビラール(Wafaa Bilal)イラク生まれの米国人アーティスト。Shoot an Iraqi: Life, Art and Resistance Under the Gun(『イラク人を撃て 銃口の下での生活、芸術、抵抗』)の著者。

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字幕翻訳:田中恵子/校正・全体監修:中野真紀子