メタデータによる処刑 NSAの暗殺関与

2014/2/10(Mon)
Video No.: 
1
32分

ガーディアン誌を去ったグリーンウォルド記者が、DN出身のジェレミー・スケイヒルらと立ち上げた新メディア事業ファースト・ルック・メディアのデジタル・マガジン「ジ・インターセプト」。お披露目の記事は2人の共著で、国家安全保障局(NSA)の諜報活動に関する新たな発見です。

エドワード・スノーデンの告発以来、NSAが世界中で行っている通信傍受については次々と新事実が明かされていますが、今回のスクープはそうした監視活動の枠を超えた、実戦におけるNSAの関与です。CIAやJSOCが交戦中でもない国で行っている無人機を使った容疑者の暗殺に、NSAが直接に関与しているのです。携帯電話やSIMカードを追跡するバーチャル基地局の技術を開発し、それを使って攻撃対象の位置を特定するのです。しかし標的となる携帯電話の持ち主が何者であるかは確認しません。メタデータの分析のみに頼り、人間の手による情報の参照を省いた攻撃は、何の関係もない人々を殺してしまうのは必定です。

今回、無人機による暗殺の犯罪性を告発したのは、JSOCの無人機レーダー操作手として世界各地の暗殺作戦に参加したブランドン・ブライアントです。以前にもデモクラシー・ナウ!にも出演しており、アフガニスタンで無実の人々を殺したときの模様などを証言しています。米国内の基地からスクリーン上で殺害の場間面を目撃しただけでしたが、後にPTSD(心的外傷後ストレス障害)を引き起こしました。合衆国憲法を踏みにじるような暗殺に加担したことに罪悪感を感じたと、ビデオの後半の20分ぐらいのところで語っています。こうした証言が、「市民の犠牲は極力さけている」というオバマ大統領の言葉が真っ赤な嘘であることを明らかにするのです。

スノーデンが体をはって告発したことは、諜報機関で働く人々に刺激を与え、秘密を語り始める人が増えているとスケイヒルは言います。こうした内部告発の安全な受け皿となることが新メディアFLMの目的の一つだそうです。それによって、政府の発表を無批判に垂れ流す大手メディアの解毒剤になりたいとグリーンウォルドは言います。今後のFLMの動きにはますます目が離せません。(中野真紀子)

☆2014年3月末刊行のDVD第27巻「汚い戦争」にも収録しています。

*ジェレミー・スケイヒル(Jeremy Scahill)ファーストルックメディア(FLM)の新デジタル雑誌インターセプトの共同創始者。共同プロデュースの映画『汚い戦争』はアカデミー賞ドキュメンタリー部門にノミネートされた。同名の書籍もある。デモクラシー・ナウ!出身のジャーナリスト。
*グレン・グリーンウォルド(Glenn Greenwald) FLMの新デジタル雑誌インターセプトの共同創始者。元ガーディア

Credits: 

字幕翻訳:齋藤雅子・阿野貴史/校正:中野真紀子