辞任したNY初の公立アラビア語学校の校長 マッカーシズムの再来に抗議

2008/4/29(Tue)
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バラク・オバマの当選は米国の人種対立の歴史に画期的な意義を持つ大きな出来事でした。その重大きさは計り知れませんが、その一方でいまだに野放しにされているもう1つの人種差別があります。公然とした黒人差別がタブーとなった今、米国で唯一おおっぴらに許されているのが反アラブ、反イスラムの風潮です。ニューヨーク初のアラビア語教育を行う公立学校ハリール・ジブラーン国際学園が2007年秋に開校する直前に、メディアの集中攻撃を浴びて辞任に追い込まれたデビー・アルモンタサー元校長の訴えを聞ぃてみましょう。

辞任のきっかけになったのは、新聞取材に応えて「インティファーダ」の原義を説明した彼女の発言を歪曲し、テロリズムを擁護するイスラム過激派の教育者として攻撃した右派メディアによる中傷キャンペーンです。黒幕のネオコン論客ダニエル・パイプスは、NY市のカリキュラムを採用した普通教育を行う学校を「マドラサ」と呼び、宗教権威たちが過激なイデオロギー教育をしていると言いたい放題です。

「インティファーダNYC」のロゴ入りTシャツを作成した若い女性たちの行動を非難しなかったと攻撃されたアルモンタサー校長は、「アラブやムスリムはいつも、なにか事件が起こるたびに自分たちの同胞を非難して米国への忠誠を証明せよと要求されます。ここは自分の国なのに」と述べています。

こうした反アラブ、反ムスリム感情の高まりに新たなマッカーシズムの到来という危機感を擁き、アルモンタサーは事件を法廷に持ち込み、ニューヨーク市を相手取って訴訟を起こしました。(中野)

* デビ・アルモンタサー(Debbie Almontaser),ハリール・ジブラーン国際学校の創設者。2007年8月に校長を辞任

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字幕翻訳など:中野真紀子