殺される環境保護活動家たち 資源開発の裏側で起きていること

2014/4/16(Wed)
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石油、天然ガス、鉱物、木材などの天然資源の開発を人間が追い求めるとき、その背後には多くの場合、そこで以前生活していた人が土地を追われるという構図があります。土地を求めるのは外資の大企業、そこに住む人々はほとんど情報を与えられないまま、小額の補償金をもらうか、ひどい場合は何の手当てもないまま強制移動させられる、というのがよく見られるパターンです。

もちろん中にはそのような状況に抗議の声を上げ、必死の闘いを挑む人々もいました。しかし残念なことに、環境監視団体「グローバル・ウィットネス」が最近出した報告書によると、土地の権利を訴える環境保護活動家の殺害は、過去十年で急増しているとのことです。2012年の時点で、このような殺害数はわかっているだけでも2002年の3倍近い数でした。

の急増もさることながら、状況の深刻さをさらに物語っているのが、犯人の検挙率の低さです。上記の報告書によると、検挙率は1パーセント程度であり、これでは逮捕や有罪判決を恐れず殺害が増えるのも無理はない、と筆者は語ります。

土地を守ろうと立ち向かう人々の大半は一般人であり、大企業に対抗できるようなコネや財産を持っているわけではありません。世界各地で森林を守ろうと闘う人々を称えるために、国連は2011年に「森の英雄賞」を設けましたが、このように土地や環境の保護に命を懸けている人々をきちんと認識し、その存在を知らしめていくことが、今後彼らの保護につながります。

無念にも命を奪われた英雄たちの努力がいつか報われるためにも、ぜひ彼らの闘いについて知ってください。(永井愛弓)

*オリバー・コートニー(Oliver Courtney)環境監視団体「グローバル・ウィットネス」上級広報員。同団体の報告書『命取りの環境:急増する環境と土地を守る人々の殺害(Deadly Environment: The Dramatic Rise in Killings of Environmental and Land Defenders)』の主執筆者。

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字幕翻訳:川上奈緒子/校正:永井愛弓