バングラデシュ工場崩落 問われるグローバル企業の責任

2013/5/1(Wed)
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2013年4月にバングラデシュの首都ダッカで縫製工場の労働者ら1000人以上が犠牲になるビル倒壊事故が起きました。事故前日、建物内に亀裂が見つかり労働者が自主休業しようとしたにもかかわらず、工場経営者が強制的に労働者を工場に戻したとされています。同工場は海外の大手衣料品メーカーの衣料品を生産していました。

バングラデシュの縫製工場労働者の8割は女性で、平均月収は38ドルだと世界労働人権研究所のチャーリー・カーナガンは言います。事故直後、同国内務省が行った調査によると、崩壊の原因は違法に設置された発電機による振動でした。事故後、ダッカでは労働環境の改善を求める抗議行動が広がり、国際労働団体が中心となって「バングラデシュ安全協定」が策定され、欧州のアパレル大手が参加しています。

縫製業はバングラデシュの輸出の8割 を占める産業になっていますが、現地企業と組んで奴隷労働に目をつぶるグローバル企業の姿がまたひとつ浮き彫りになりました。過去にもナイキ、米アップルなども搾取的労働で国際批判を浴びましたが、利益優先に走るあまり安全性を顧みない大企業のモラルが、このような大事故が起きるまで問題とされないのも変わっていないようです。(桜井まり子)

*チャーリー・カーナガン(Charlie Kernaghan):世界労働人権研究所(Institute for Global Labour and Human Rights)所長

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字幕翻訳:齋藤雅子 校正:斉木裕明 Web作成:桜井まり子