FBIはアップルをひとかじり? 両者の最終対決を元CIAエージェントが語る

2016/2/25(Thu)
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11分

2016学生字幕翻訳コンテスト 課題5:「ネット企業は市民監視に協力すべきか?」の受賞作です。

アップル社が米捜査当局からテロ事件の捜査に協力しiPhoneの携帯ロック解除を求められていると公表し、要請を突っぱねて断固抵抗する構えを見せました。この出来事は他のネット企業も巻き込んで、捜査当局との距離がどうあるべきかという重大な問題を突きつけることになりました。

エドワード・スノーデン氏の内部告発により、巨大ネット企業と米国政府の驚くべき協力関係の実態が暴露されましたが、それを踏まえて今後これらの企業がどのように顧客との信頼関係を築こうとするのかが問われています。

米国政府がアップル社に引き続き圧力を加えている中、同社のティム・クック最高経営責任者は、連邦捜査局(FBI)が要請している、サンバーナディーノ乱射事件の犯人が所有していたiPhoneの携帯ロック解除は「ソフトウェアにとっての癌」と語っています。ABCテレビのインタビューで、クック氏は携帯ロック解除に協力せよとの裁判所命令にアップル社が抵抗する理由を説明しました。FBIは今回の訴訟は対象が限定されており、アップルは自社の機器へのセキュリティ・リスクを誇張していると主張しますが、これは今回の犯人の携帯だけに当てはまるものでは済みません。どの携帯に対しても政府はこれを利用できるようになるはずです。

政府が誰の携帯でも暗号解除できることに何の問題も感じない人もいるかもしれませんが、「米国政府がアクセスできるバックドア(裏口)があるということは、米国に敵対的な勢力にとってもアクセス可能になるということなのです」と、本日のゲストで、政府による監視をテーマに小説を書くバリー・アイスラー氏は述べています。アイスラー氏は元CIAで、最新作The God’s Eye View (『天眼』)をはじめ、多数の著書があります。(長沼美香子)

*バリー・アイスラー(Barry Eisler):元CIA職員。政府による国民監視についてフィクションの形で多数く書いている。最新作はThe God’s Eye View (『天眼』)。

Credits: 

字幕翻訳:田中千里 早稲田大学大学院政治学研究科 1年 (2016学生字幕翻訳コンテスト受賞作品)
監修:中野真紀子