NATOは存在すべきか? 同盟の目的とアフガニスタン戦争の将来を討論

2012/5/22(Tue)
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5月にシカゴで開催された北大西洋条約機構(NATO)サミットは、加盟28カ国の他にアフガニスタンやパキスタンなども含めた50カ国の首脳クラスが集まる過去最大の会合となりました。会議ではアフガニスタンからの撤退計画が承認され、2013年中頃までに戦闘行動の中核を現地軍に移管し、2014年末には軍事訓練要員を残してISAF(NATOが率いる国際治安支援部隊)はすべて撤退します。これは本当に「責任ある形の終結」をもたらすのか、また戦後の再建に軍事同盟であるNATOがどこまで協力できるのか、そもそもNATOは何のために存在するのかについて考えます。東西冷戦もとうの昔に終わったのに、なぜいまだに大西洋軍事同盟が存在するのか?

今の時代のニーズに応えるには、NATOの機能を拡大すべきだと言う元CIAのスタンスローンに対し、政策研究所フェローのフィリス・ベニスは軍事同盟であるNATOの権能の拡大に反対です。軍事同盟は必然的に、すべての問題に対して軍事的解決でアプローチします。外交交渉の努力を行うべき地域機構をさしおいてNATOを強化するなんて国連憲章の精神に反している。国連憲章は、紛争解決の手法として軍事介入ではなく地域機構の交渉による政治解決の重要性を訴えているからです。(中野真紀子)

*フィリス・ベニス(Phyllis Bennis) 政策研究所フェロー Challenging Empire: How People, Governments, and the UN Defy US Power(『帝国に挑戦』)など、著書多数

*スタン・スローン(Stan Sloan)アメリカ中央情報局(CIA)で1960年代後半から1999年まで安全保障を担当し、米国下院調査局の上級調査員も務めた。退官後はバーモント州のミドルベリー・カレッジで教えている。近著はPermanent Alliance? NATO and the Transatlantic Bargain from Truman to Obama(『永遠の同盟?トルーマンからオバマまで』)

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字幕翻訳:大竹秀子/全体監修:中野真紀子/Web作成:桜井まり子