撤兵それとも恒久駐留? イラク米軍基地に数億ドルの投資を継続

2010/9/1(Wed)
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6分
8月末オバマ大統領は、イラク国内の数百カ所の米軍基地を閉鎖し、イラクに引き渡したと発表しました。しかし、イラク国内にはいまだに多くの基地が存続し、バグダッドにあるフットボール競技場80個分という世界最大の米国大使館も残ります。イラクの米軍基地について独立系ジャーナリスト、ジャッキー・スーへンが制作したビッグ・ノイズ・フィルムズ(Big Noise Films)の映像報道をご覧ください。
2012年末までには完全に撤退すると言いながら、バラッドの米軍基地では今も巨額のインフラ投資が続いています。本当に、これを捨てていくつもりなのでしょうか? 約26キロ平方のバラッド基地は、ワシントン郊外のアンドリュー空軍基地より2割ほど広く、3万人近くが生活する一つの町のような様相で、レジャー施設やショッピングセンターも備えています。戦略的監視拠点として常設基地化の候補にあがっているとささやかれています。
正規軍は撤退するかもしれませんが、確実に残るのは何千人もの特殊部隊です。彼らはイラク軍に協力してテロ対策の訓練を施します。イラク人特殊部隊を訓練して、米軍による占領をイラク人に肩代わりさせるのだと、ジェレミー・スケイヒルは指摘します。協力関係を通じて米国の価値観を現地軍に植えつけ、現地軍の仮面をつけた米国の代理軍を養成するのだと。一方、国務省は7千人の民間傭兵をイラクの5カ所の永続基地に配備すると発表しました。撤退した米軍にかわってイラクでの国務省の活動が軍事化しているのです。
戦時の占領から平時の占領へという流れは、日本の基地問題を考える上でも参考になります。英空軍(ロイヤル・エアフォース)の基地でさえも、名前を変えた米軍基地だと言ってのける米空軍大佐の言葉には驚かされます。(中野)
Enduring Presence独立ジャーナリスト、ジャッキー・スーヘンによるBig Noise Filmsの映像報道。アルジャジーラ英語版の番組「エンパイア」 で放送されたもの
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全体監修:中野真紀子