アヴィ・シュライム イスラエルは「国家テロ」で和平を阻んでいる

2009/1/14(Wed)
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2008年12月末に始まったイスラエルによるガザ攻撃は、1500万人を壁で囲い込んだこの世界最大の難民収容所に生活必需品の搬入さえも許さない非人道的な兵糧攻めを何ヶ月も続けた後に起こったものでした。大規模な軍事作戦は米国でオバマ新政権が開始する1月20日直前に終了しましたが、パレスチナ民間人のあいだにはおびただしい犠牲者がでています。

マスメディアの報道では、イスラエルがガザを攻撃する理由は、ガザを「実効支配するイスラム原理主義過激派の」ハマスがイスラエル南部に打ち込むロケット弾から自国を防衛するためです。ハマスとは2008年7月にエジプトの仲介で停戦合意が成立していたはずですが、なぜそれがこのような結果になったのでしょうか?

英国オックスフォード大学で教えるイスラエル=アラブ問題の世界的権威アヴィ・シュライム教授に、ハマス政権のもとでガザが孤立するに至る経緯と、イスラエルが果たした役割を聞きます。2005年8月の「イスラエルの一方的撤退」とは何であったのか、ファタハとハマスの抗争にイスラエルや米国はどのような役割を果たしたのか、歴史家のシュライム氏の説明を聞きましょう。

イラク生まれのイスラエル人で1960年代半ばイスラエル陸軍に従軍した経験を持つシュライム氏は、民族解放運動としてのシオニズムは正当なものであったと考えています。しかし、67年の第三次中東戦争以降のイスラエルの拡大政策と植民地支配がシオニズムを脱線させ、和平を阻むために「国家テロ」を犯していると厳しく断罪します。(中野)

★ ニュースレター第14号(2009.5.10)
★ DVD 2009年度 第3巻 「パレスチナ」に収録

アヴィ・シュライム(Avi Shlaim)オックスフォード大学の国際関係学教授。イスラエル=アラブ紛争についての世界的権威の一人。1960年代半ば、イスラエル国防軍に従軍した経験を持つ。The Iron Wall: Israel and the Arab World(『鉄の壁 イスラエルとアラブ世界』)など、著書多数。

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字幕翻訳:田中泉/校正・全体監修:中野真紀子