学生ローン危機に対するオバマ大統領の取り組み 返済条件の大幅緩和も焼け石に水?

2014/6/10(Tue)
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第二の住宅ローン危機とささやかれる米国の学生ローン問題。学生ローンの残高は総額1兆2000億ドルに達し、住宅ローンを除けば最大の消費者負債項目になっています。2014年の卒業生は7割以上がローン利用者であり、卒業と同時に平均3.3万ドルもの借金を抱えています。思うような就職ができなければ、たちどころに返済に苦しむことになり、大きな社会問題となっています。

2014年6月、オバマ大統領は学生ローン危機への積極的な対策に乗り出しました。負担を緩和するため月々の返済額を月収の10%までに制限し、その条件で20年間返済を続ければその時点で残高は帳消しにするというPAYEプラン(Pay As You Earn)を、新たに500万人に適用すると発表しました。これは既存の返済プランの中でも最も借り手に有利なプランなので、対象者の拡大はよいことですが、NYの大学院生で学生ローン問題の活動家パメラ・ブラウンは、その程度の緩和措置では焼け石に水だと指摘します。そもそも18歳の子供に何万ドルもの借金の契約をさせるなんて制度そのものが不当であり、すべての債務を帳消しにすべきだ彼女は訴えます。

学生ローンを利用する大学生の割合は20年前の2倍に増えたそうですが、その原因は急激な学費の高騰です。この30年間で学位取得にかかる費用は1,120%以上も増加し、食費や医療費や住居費、燃料費など生活必需品の物価上昇をはるかに上回っています。いったいどうしてこんなことに?米国の高等教育に関するドキュメンタリー映画Ivory Tower(『学歴の値段』)のアンドリュー・ロッシ監督に、米国の大学でいま何が起きているかを聞きます。(中野真紀子)

☆この続きは、学生字幕翻訳コンテストの「課題5」になります。

*パメラ・ブラウン(Pamela Brown) 学生ローン問題に取り組むNYのニュースクール大学の大学院生。「学生債務を占拠せよ」(Occupy Student Debt)運動の創始者で、『借金抵抗マニュアル』を作成。

*アンドリュー・ロッシ(Andrew Rossi,)ドキュメンタリー映画Ivory Tower (『学歴の値段』)を制作監督

Credits: 

字幕翻訳:長沼美香子 /全体監修:中野真紀子