戦争税なんて払いたくない 連邦税の40%が軍事費に?
今年の連邦税2兆ドルのうち約40%が軍事費に回ると、NGO「全米優先プロジェクト」が発表しました。イラクに費やしている戦費があれば、全米の高校生全員に大学奨学金を支払い、全米の港で湾岸警備費をまかない、そのおつりで国家の赤字を半減することができるとのこと。このセグメントでは、「全米優先プロジェクト」のパメラ・シュワルツ氏が、戦争がいかに税金の無駄遣いなのかをわかり易く例示し、更に、戦争に加担しないために納税拒否を行なっているルーズ・ベン氏が、戦争税拒否運動の今昔を語ります。
パメラ・シュワルツ氏によると、今年徴収された連邦税のうち
27%が イラク戦争など現在行なわれている戦費に
9%が 過去の戦争の軍事負債に
3%が 退役軍人への手当に
使われるというのです。それに対して
1%が 職業訓練に
2%が 食料や住宅に
5%が 教育に
0.01%が 代替エネルギーや自然保護に
使われるとのこと。これだけ露骨に軍事費が優先されているのは初めてのことで、「自分たちの税を何に優先的に使ってほしいか、みんな意見を持とう」と呼びかけています。「全米優先プロジェクト」のサイトhttp://costofwar.com/index-public-education.html では、イラクの戦費が現時点でいくらなのか、そのお金があれば、何人の人の教育・医療費がまかなえるのかを、州ごと・都市ごとに示しています。ぜひ覗いてみてください。
一方、100年以上前の米西戦争で始まった戦争税に対する納税拒否運動は、ベトナム戦争のときにたいへん広がり、今でもさまざまな形で参加する人がいるそうです。ルーズ・ベン氏は、「全米戦争税拒否運動連絡委員会」のコーディネーター。彼女自身は、税金申告書に納税額を明記した上で、「この額面を、人を殺さない団体に寄付します」と歳入局に送りつける形で納税拒否を行なっています。
日本での最近の軍事費で言うと、イラク派兵でかかった費用は昨年4月までで760億円、現在進みつつある米軍再編における日本の費用負担はグアム移転費7000億円を含んで総額3兆円と言われています。アメリカ政府と協力して「戦争もやむなし」の路線を貫く限り、宇宙防衛構想も含め、制御不可能な勢いで出費がかさんでいくことでしょう。
戦争って、それだけの価値があるものなのでしょうか。 (文:古山葉子)
★ DVD 2007年度 第2巻 「2007年6-7月」に収録
☆おしらせ:日本の「良心的軍事費拒否の会」のブログできました(2008年2月3日 追記)。
* パメラ・シュワルツ (Pamela Schwartz) 全米優先プロジェクト(National Priorities Project)のコミュニケーション・ディレクター。マサチューセッツ州チコピーからの中継
* ルース・ベン (Ruth Benn) 全米戦争税拒否運動連絡委員会(National War Tax Resistance Coordinating Committee)のコーディネーター。共著に War Tax Resistance: A Guide To Withholding Your Support From The Military (『戦争税 への抵抗:軍事費に加担しない方法』)
翻訳・字幕 : 磯村香菜 高田絵里
全体監修 :古山葉子